クレイモア吸血鬼の旅行記97 ノヴィスワールド-天国と地獄のグラン・ギニョール-



アネモネ「マリーよ。味わうといい。舌がとろけるような最後の晩餐を」

マリー「銀貨の袋を手に逃げていいか…」
吸血鬼とマリーの目の前に並べられた料理は赤々と燃えていた。落下するメテオを思わせるステーキ。マグナのようにぐつぐつに煮えるシチュー。食べる前から想像できる。ものすごく熱そう。怯えるように後ずさるマリーの反応に、炎の料理人エボンは悲しそうにうなだれた。

アネモネ「見損なったぞ。ノイエルの混乱から逃れ、やっと自由となったエボンが心機一転、レストランを開店し。心を込めて炎を吹き、調理したというのに。そのような冷たい態度を取るとは」

マリー「ぐっ…。良心が痛むが、人間の舌は燃えるんだ!」

アネモネ「口に入れるまで、わからぬではないか。火傷する程度かもしれんぞ。さあ、そなたの唇に、中に…含むといい。赤く愛らしいタコさんウィンナーを!」 吸血鬼は油でぬらりと光る、太く長いウィンナーをマリーの口へ押し付けた。

マリー「や…あっつっ!!………うんまい。驚いた。すごく美味しい。なんだか力がみなぎってくる」

アネモネ「ふふ、食わず嫌いは損だぞ~。さて、我はカレーを…無いのか。エボンよ、あの素晴らしい料理が無いのはもったいないぞ。今度、メニューに入れておけ。唐辛子たっぷりな真っ赤なカレーをな!」

マリー「お前好みの劇薬カレーをメニュー追加させようとするな…!しかし、フィアマンテが居なくなったとはいえ。この街で、のんびり食事できるなんて、平和になったものだな」

アネモネ「やっと堂々と幼女できるものだ。我らの活躍に乾杯!…まあ、水面下でパルミア警察が検挙しようと動いていたらしい。それで次々と取り締まれているようだ」

マリー「それは良かった…。ウィルルさんたちをルミエストに運んだ後。突然、お前が奈落の城《魔導》に行くぞ。と、言い出して…ひどい目に遭ったからな。ゆっくり休めるのは助かる」

アネモネ「我は愉快だったぞ」

マリー「私は地獄を見たよ」

 

料理をテーブルの上に置きたかったが、位置がズレるので床置きに。ところで、炎のパフェも注文したが、なぜか足元に転がっていない…フラグミス?それとも、炎に溶けたということなのか?

 

~奈落の城《魔導》~


アネモネ「ほう。美しい…。お嬢さん、せっかくお会いできたのだ。我とお茶でも…」
シース「不法侵入よ!出て行きなさい!研究の邪魔しないで!」

マリー「すごく真っ当なことを言われているぞ」

アネモネ「…潔く去るのが素敵紳士というものだ。失礼した」
シース(もー。変なのが入ってくるなんて…相当の阿呆か。腕に自信があるのか。…なんか帰っていっちゃっているけど、本当になんなの。うん?何、この魔力の気配…)「待って、阿呆…お嬢ちゃん。君、何者なの?」

アネモネ「ほう。我に興味を持ってくれたか。我が名はアネモネ。最強無敵の超絶美形吸血鬼であるぞ!ふはーははははははははっ!!」
シース「はあぁぁあ!?こんな不気味で、異常な魔力を持っている奴が、ただの吸血鬼なわけがない!嘘をつかないで!ああもう面倒よ、直接その身体に聞いてやる!」 魔術士は目の前の空間に、細指を踊らせ。古の魔術の法陣を描き出した…!

アネモネ「激しい娘だな…」

 


魔術士は次々と強力な魔法を放つ。それによって、耐性があまり整っていないマリーは致命傷を負うが、すぐに治癒の雨を唱えて全快し。再び大斧を振るう。可憐なドレスを纏った華奢な身体を容赦なく切り裂き。重く分厚い刃で打撃も与えていく。魔術士も回復魔法を使うが、徐々に追い詰められていった…。
シース(うぐぅ…後片づけが大変になるけど、やるしかない…!)


魔導の徒《シース》は魔法を詠唱した。隕石が落ちてきた!マリーは燃え尽きて灰になった。
シース「アハハハハハハッ!私の魔法にかかれば」

アネモネ「メテオを唱えてくるとな。なかなかやるな」
勝ち誇った笑みを浮かべていた魔術士だが…。愉快そうに笑顔を浮かべる、まったく無傷の吸血鬼の姿にシースは驚愕した。
シース「え…?なに?なんなのアンタ!?」

アネモネ「ふふふ、ふはーはははははっ!先刻、言ったであろう。我は最強無敵であると」(メテオは火炎属性だ。耐性が完璧である我にはまったく効かぬというわけだが…)
シース「ええい!メテオメテオメテオメテオメテオメテオ!!」

アネモネ(それに気づかぬほど、頭に血が上っておるな~)


夜空で煌めくことなく、大地を破壊する流星群。辺り一面は更地となり。炎に包まれていた。ひたすら連続詠唱していた魔術士だが、突然と静かになった。唇から零れる息は乱れ、整えようと胸を手で押さえている。どうやらMPが切れたようだ。

アネモネ「はははっ!とても愉快だったぞ。褒めてやろう。情熱的なお嬢さん。…さて、マリー。起きろ。面白いから起きろ」

マリー「うう…私の斧におじさんの精霊が宿って…!?ハッ、夢か…。いや、私はまだ悪夢を見ているのか…?それとも地獄に来てしまったのか…?」

アネモネ「ぬう?即ミンチになったから、メテオを見ていないのか。なら適当な街で、地獄が出来るところを再現してやろう」

マリー「やめろ…!」


マリーは魔導の徒《シース》を切り払い 粉々の肉片に変えた。シース「もう少しであの”魔女”たちの尻尾を掴めたのに…。一から出直しよ。覚えてなさい」

アネモネ「…?」(魔女といえば…ノイエルで会ったアルハザードだったか?葬列の魔女と名乗っていたような…)

マリー「しかし、恐ろしい魔法だ。本当にここは城があった場所なのか…?」

アネモネ「随分と驚いているな。まあ、そう滅多に見る光景ではないか…。ならば、思い存分に地獄を見よ。そなたは天国に行くのだろうからな」

マリー「…どうだろう。私はまだ若いのでね。そう己を見つめられるほど、老成していないよ。だが、お前は私のことをそう思っているというなら、嬉しく思うよ」

アネモネ「…。ふん。蝋の翼が溶けても、我は笑うだけだぞ」

 


サクッと2人でクリアできるだろうと思っていたら、瀕死行動による連続メテオで、マリーがミンチになってしまった。すぐ復活させても、メテオが降ってくるので。MP切れるまで使わせたが…なかなか面白い光景だ。
今回からウィンドウサイズを少し大きくして、OBSの設定変えたが…悪くない感じかな。

 


食事を終えた2人は街を散策していた。フィアマンテが人々から欲望エネルギーを吸収していったことに、何か悪影響があるかもしれないと、マリーは危惧したが…。見かけるのはパルミア軍に保護されて安堵する奴隷たち。職を失ったと嘆く商人ばかりだ。

マリー「特におかしいところは……なんだ?やけに賑わっているな」
人々の怒声と獣の唸り声…そして、怯えた悲鳴が聞こえた気がする。気になった方向を見ると闘技場のような大きな建物があった。調べようと近づこうとしたが。それを阻むのように、目の前に獣人の女が立ってきた。
??「見世物小屋さ。見目が良い女子供を無理やり魔物と戦わせたり、凶悪な罠の中に放り込んだり…。それを眺めて、賭けをしている連中が集まっているんだ。まったく胸糞悪い」

アネモネ「そなたは…ペットアリーナのマスター『ニノ』ではないか。なぜ、このような場所におるのだ?」
ニノ「今は秘密のお仕事中でね。…貴方たちの評判、よく知っているよ。ジュア人形を腕に抱きながら、奴を…フィアマンテのを退けた。とか。まあ、間諜という奴さ」

アネモネ「ほう。それで?こそこそ隠れて、今現在も弄ばれている人間をポップコーン片手に観賞中か」
ニノ「あはは…素敵なお言葉ありがとう。本当は今すぐにも飛び込みたいが…ここは広く、アタイが知らない部屋や通路があるだろう。下手に動いたら、逃げられるか。最悪、人質を取られるかもしれない。だから、貴方たちに頼みたい。ショーに乱入して、注目を集めてくれないか。そしたら、その隙にこの場所を包囲できるはず」

アネモネ「そなたの頼みなど聞かぬよ」
ニノ「…っ!お願い。なんでもするから…!」

アネモネ「もう阿呆が突撃しておる」
ニノ「…え?」
吸血鬼が愉快そうに見つめている先を見ると、大きく揺れる金色の三つ編み…マリーの後ろ姿があった。その先にあるものは———

 


ローランの少女リタは諦めきった暗い瞳で、殺戮ショーの舞台を見つめていた。これから身体に刻まれる苦痛は恐ろしく。けれど、逃げることは出来ない。早く終わってほしいと機械的に歩いていると…観客席の方から、派手な音が響いた。驚き見ると、鉄格子が折り曲がった状態で転がっており。開いた隙間から、シスターのような恰好をした女性が舞台に降りてきた。澄んだ青い目、光輝く金の髪…その姿に一瞬、天の使いだと思ってしまった。
リタ「あなたは誰…?一体、なんのつもりですか…」

マリー「助けに来た。それだけだ」
リタ「新しい趣向なの…?」 ローランの少女は信じられないという様子だ。

アネモネ「正義の乙女は敗れ。魔物に蹂躙されてしまう…とな。そなた、なかなかの癖を持っておるな」
いつのまにか、変わった口調の幼い少女が隣に立っていた。こちらは真紅のマントを羽織り。纏う空気は怪しげで、まるで吸血鬼みたいだ。
リタ「ホ、ホントになんなの!?」

マリー「アネモネ。彼女が混乱しているだろうが…。お嬢さん。とても怪しく思えるだろうが、私たちは本当に助けに来たんだ。ここから脱出しよう」
リタ「ここから逃げ出す…?モンスターたちが迫ってきているのに、そんなの無理よ!」

アネモネ「ならば、教えてやろう。ミンチにすればよいのだ!ははははははははっ!」
リタ「頭おかしいの…!?」


次々と襲ってくる凶悪なモンスターたちを、圧倒的な戦力差でミンチにしていく乱入者。その勇士にリタは忘れようとした希望を感じる…。けれど、付けられた枷の冷たい感触に絶望を思い出し。再び沈んだ表情に戻った。
リタ(どうせ生き残れても…)

マリー「君の動き、すごいじゃないか。それは相当鍛錬を積んだものだろう」
リタ「……。私は、パルミアとローランの国境———…大氷原の中腹で暮らすアマゾネスの戦士だった…。そう…。”だった”…。突然現れた、恐ろしい呪いを行使するフィアマンテの信徒たちに襲撃され、捕らえられた仲間を救おうと投降して、この奴隷市場に連れてこられたの…」
気が付くと、リタは身の上話をしていた。誰でもいいから、自分を覚えてほしかったのかもしれない。
リタ「これまで培ってきた価値観も矜持も全部否定され、骨の髄まで奴隷であることを覚え込まされて…。今の私には何も残っていない。自由も、尊厳も、希望も、貞操も、何もかもをクラウン・ジェスターに奪われた…」

アネモネ「だから、諦めていると?…そんなこと知らぬ。我らはそなたを解放してやる。そういう依頼だ。そなたに拒否権はない」
リタ「無理よ…そんなの無理。だって…私は《契約の足枷》の呪いによって、ここから出られない。どんな瀕死の重傷を負ったとしても、呪いの力で再生させられてしまう。毎日毎日、どんなに死にたいと思っても…」

アネモネ「呪いなぁ…そうだ。キスしようか」
リタ「ななな何を言っているの…!?」 予想外の返事にローランの少女の顔は真っ赤になった。

アネモネ「血色が良くなったな。その方が好みだぞ」

マリー「安心してくれ。こいつが噛みつく前に、私が殴っておく」
リタ「…」



アネモネ「ぬ…?こ、これは…!!」
《マジックポット》がドロップした金の箱を開けて、吸血鬼は歓喜の声を上げた。それは非常に軽く、そこに存在しているのか、わからなくなるほどのしなやかな手触りだ。衣服を嫌うウィルルが身に着けることを許したという特別なローブだが…どうやら、フィアマンテに奪われた物がこんなところに隠されていたようだ。

アネモネ「ふむ…」 吸血鬼はじっくりとウィルルのローブを眺めた後、柔らかな布地に顔を埋め。深呼吸しようとしたが…マリーに奪われた。

マリー「変態かっ!!これは私が預からせてもらう。後でウィルルさんに返すぞ。絶対にな!」

アネモネ「ぬわっ!?すこーしだけ吸っても良いだろう」

マリー「私は眠るお前を吸いたい」

アネモネ「倒錯しているのか…!?」 吸血鬼はマリーから一歩離れた。

マリー「冗談だ。理解したか」
リタ(ホント、変な人たち…。なんだろう…この気持ち。ああでも、やっぱ…) ローランの少女は己の内で何かが変化しているような気がした。

 

クエスト中での奇跡的な引き。マジックポット撃破後に出現する宝箱から入手できる《ウィルルの羽衣》。その確率はかなり低いらしい?(5回目で固定)

 


すべてのモンスターを倒し、トラップも破壊した吸血鬼とマリー、後はリタを外へ連れ出すだけだが…それを邪魔するように道化師が躍り出た。その背後には厳つい黒服の男たちが壁のように並び。入り口を塞いでいた。道化師はニヤリと吸血鬼に向かって笑い、近づいてきた。こいつは己と同じ側にいる人間だ。そう感じ取ったのだ。そして、アネモネだけに聞こえるように囁いた。
クラウン・ジェスター「分かってますよ?あなたが欲しいのはこの《契約の足枷》なんでしょう?フィアマンテ様の呪力が込められたとてつもなく高価な代品ですが…。仕方ありません。特別に1つだけお譲りしましょう。ねぇ…これで手打ちにしませんか?ワタクシとしても、リタを取り上げられては困るんですよ。あの娘にはまだまだ稼いで貰わなきゃなりませんし、呪いと仲間の命をダシにすれば、たっぷり体を味見出来そうなんでねぇ」

アネモネ「それはなんて素晴らしいくそだぁ!!
吸血鬼は目に止まらないほどの速さで、道化師を平手打ちした。勢いで外れた黒い革手袋は空中を舞い、露わになった指先は血に濡れていた。長く尖った爪が、道化の顔を真っ赤に裂いたのだ。道化師は気が付かなかったのだ。吸血鬼は人間ではなく、吸血鬼であると。
クラウン・ジェスター「ぐぎゃあああああああああああっ!!?」 予想外の衝撃によって、身体が吹っ飛び。道化師は情けない悲鳴を上げながら、滑稽に転げ回った。

アネモネ「はははははははははっ!道化らしくなったじゃないか!もっと我を愉快にさせろ。そうだ、芸を見せてみろ。例えば、剣を飲み込むとかな…!」 吸血鬼は狂笑しながら、大剣の先を道化師の口の中に押し込もうとし———

マリー「…っ!」
止めようとマリーが動こうとした瞬間、複数の足音が響き渡り。武装した兵たちが入ってきた。その先頭にニノの姿があった。
ニノ「パルミア公安部・ニノだ!!クラウン・ジェスター!お前の悪事は全てお上に報告させてもらった!フィアマンテが消えた今、こんな違法の見世物小屋の経営が立ち行くとでも思っているのかい!?観念するんだね、悪党め!!」
クラウン・ジェスター「助けてぇぇぇえぇええっ!!やばい幼女に殺されるぅ!!!」
ニノ「ええと…?頼んでいたけど…随分と派手に暴れたようだね」

アネモネ「オーダー通りであろう。やれやれ…手が汚れたわ」 床に落ちた革手袋を拾い。吸血鬼は再び冷たい手の平を覆い隠した。先ほどの狂気など無かったかのような、凪いだ表情だ。

マリー「…時間稼ぎの演技だったのか?」

アネモネ「我は本気だが?まったく運が良い奴だ。これから頑丈な壁に囲まれて生きていけるのだから」


ニノ「…商品として扱われていた奴隷たちは自由の身だよ。助けるのが遅れてすまなかった…。償いになるか分からないが、アンタたちの身柄はパルミア公安部が責任を以て保護し、希望の場所まで送り届けるよ」
リタ「…!…帰、れるの…?私、みんなのところに…。帰れるっ……ああっ…」
ぽろぽろと涙を零し、そのまま泣き崩れるリタ。すると、ふわふわな毛が顔に触れた。どうやらニノが抱きしめているようだ。その柔らかな感触にお気に入りのぬいぐるみの存在を思い出した。きっと部屋で自分を待っているだろう。家族も友達も生まれ故郷で。様子を見ていたアネモネとマリーは互いの目が合うと、それが合図となって、無言でその場を去っていこうとしたが…。
リタ「待って…!その、ありがとう…ありがとうございました。今は私が渡せるお礼はこれぐらいしかありませんけど…。どうか、受け取ってください」
ローランの少女は流麗なエメラルド素材の鉾槍を吸血鬼に渡した。《ジャマダハル》ローラン部族として受け継ぎ、リタにとって己の命を守ってきた大切な武器だ。
リタ「もし…大氷原に訪れることがあったら…。私のすべてで…お礼しますね」 ローランの少女は頬を赤く染めた。


アネモネ「ふふ。再びメイルーン観光に行く時の楽しみが増えたな」

マリー「エリザに今回のことを伝えておくぞ」

アネモネ「ぬー、マリーの意地悪ぅ…」

マリー「お前ほどじゃない」

 

このサブクエは《契約の足枷》での選択肢で結末や報酬が変わるようだが…マリーが居るので逮捕一択だけどね。アネモネ1人だったら…欠片も同情の余地もない奴に慈悲など無い。ところで、挑んだデータではクラウン・ジェスターの性別が女だったのだが…なるほど(?)