クレイモア吸血鬼の旅行記73


入口の開錠させるには仕掛けに手をかざし続ける必要があり、その役目をロミアスに任せ、遺跡の中に入った吸血鬼たちとラーネイレ。内部は不自然なまでに冷え切った空気で満たされており、何がしかの器械の稼働音が低く天床を揺らしている。
エリザ「うう寒い…今までジャングルの熱帯の中にいたから、よけい寒く感じますわ」
アネモネ「エリザ、いつでも我のマントの中に入っていいのだぞ」
エリザ「ええ。いつでもあなたのマントを奪い取りますわ」
アネモネ「ふ、素直に中身を求めてもいいのだぞ……薬品と、軽油の匂いがするな。装置の中身は…若木?この枯れ木といい、ヨウィンの森で見た古代樹に似ているな」
ラーネイレ「この壁の文様…古代エルシアン文字で綴られた彫語ね…。”ヌーロス”…。太陽の軌道を周回する小衛星を指す言葉だわ。その隣の単語は…あまり馴染みのない響きね。”ナーク”…何かの固有名詞かしら」
訝るようなラーネイレの声が闇に響く。さらに彫語を読み進めようと試みたが、これ以上の解読は岩壁の風化と崩落のため困難なようだ。…チロチロと揺れる松明の灯りの向こうには、岩盤の通路が先へ先へと続いている。互いに頷きを返し合い、吸血鬼とラーネイレは洞内の探索を続けるべく歩みを早めた。

 


ジル「マスター、クラゲみたいな奴がいるのですです。くねくねしてて、へーんな動きしてますねー」
アネモネ「我も初めて見る生き物であるな。おとおと…?どこかで聞いたような…サンドバッグに吊るされ…増殖し。願いが…」
ジル「わわっ!襲ってきたのですです。敵対するものはミーンチにするのですです!」


*イーク*イイーック*イーーック!* なぜか増殖したイークが溢れ。増殖したおとおとは無言で頭を振りながら、光線銃を撃ち込んでくる。
ジル「はわわわわわっ!?狭いですです!僕の魔法で全部吹っ飛ばして…」
アネモネ「ジル、落ち着け。階段が近い、一旦下がるぞ。ここで消耗するのは疲れるだけだ」
ジル「はい…ですです」
アネモネ「奥に何か…不気味な気配がする。その時、そなたの力が必要となるであろう。期待しておるぞ、ジル」 その言葉に落ち込んだ少年はみるみる元気になった。
ジル「ふひ、うぇーひひひ…ひひひひひひ… はい!マスター。僕、全力でぶっ殺しますね!」

 

まだ記事にしてないサブクエで出てくるモンスターなんだが、こっちの探索に出現して驚いた… ”おとおと”という単語を見ると、昔からある願い部屋の方が思い浮かんでしまう。ちょっと使ったことがある、すぐ飽きたけど。


延々と続く地下への階段を下った先には、洞窟の内装とは不釣り合いな、幾つもの培養層が並ぶドームが在った。テーブル上に乱雑に置かれた資料には、奇妙な数式と記号の羅列が踊っている。その一つを手に取るながら、ラーネイレは微かに眉を顰めた。
ラーネイレ「”ハーベスターによるエーテル採取実験と寄生細菌の増殖について”…”エーテルの抗生作用と結晶化現象”…。この記録は…。まさか、こんな所でエーテルという単語を目にするなんて…」
彼女の呟きをかき消すように、水槽の液面がゴポリと鳴った。
ラーネイレ「寄生細菌と、エーテルの採集…。この遺跡は…もしかして」


ラーネイレ「先刻、私が目にした資料の文面には、そのエルシアンの記述で幾度も同じ単語が記されていたわ。”エーテル”、”ハーベスター”、”採集実験”…3年前、ヴァリウスが私に語った言葉が真実なら、エーテルはレム・イド記に見出された生化学資源の一つなのだそうよ」
アネモネ「かの物質は星の恵みとして神聖視され、かつての人類に希望と繁栄をもたらした。大地がメシェーラに蝕まれ、生態系を一変させるその時まで… だったか。我が持つ《常闇の眼》にそう書かれていたな」
ラーネイレ「此処はレム・イド紀に建造されたエーテルに纏わる何らかの実験施設だとすれば…。ロミアスが機密保持のための装置だと推測した入口には、もう一つの意味合いがあったのではないかと私は思うの」
アネモネ「この地下深くに作られた実験場で、万が一、”不測の事態”が起きてしまった時。それに関わる資料も、人間も、実験に携わる全てを封鎖する必要がある… 遺跡の設計者はそう考えていた、ということか」
ラーネイレ「…根拠はないけれど、とても嫌な予感がするわ。冒険者さん、この遺跡の奥に待つものは、私たちにとって————…っ…!?」
床を照らす炎が揺らぐ。言葉を切り、口を噤んだラーネイレが、突然胸元を押さえ、うずくまった。彼女の全身は小刻みに震え、その額からは冷えきった汗が滴り落ちている。浅く早い呼吸を繰り返しながら、ラーネイレはこちらを見つめ、何でもないという風に笑みを浮かべた。
ラーネイレ「…っ…大、丈夫…。あ」
アネモネ「休め」 吸血鬼はバサリと真紅のマントを脱ぎ、包むようにラーネイレに被せた。「だいぶ階層を降りたが、休息後に地上に…」
ラーネイレ「ありがとう。でも…少し疲れてしまっただけよ。休めばすぐに良くなると思うから…」
アネモネ「だが」
ラーネイレ「マントを貸してくれて嬉しいけど…冒険者さん寒いでしょう」 それ以上、言わせないようにエレアの少女は目の前の吸血鬼を抱きしめた。「ほら、こんなにも冷えている。…私は先に進むわ。終点は近いと思う… 引き返すより、早く探索を終わらせて、ロミアスの所に帰りましょう」
アネモネ「…わかった。そなたも強情であるよな」

 

エリザ「…」 エリザは焦りを感じた。
ドラクル「私はエリザさんを応援してますよ」
エリザ「…それは心強い言葉ですわ…」
ジル「マスターがどうあろうが、マスターは僕のマスターですです」
エリザ「ジルは昔から変わらないですわねー…」

 


地下遺跡の最下層。幾重もの遮断壁に区切られた巨大な空洞の中で、一行は開かれた地獄の淵と対面した。
赤く粘つく土————…大部分が腐食し、化石化した古代の樹木。無軌道に延びるその枝が、奇形となって壁面全体にへばりついている。かつてエーテルの収穫に用いられていたであろう、その工房の変わり果てた姿は、容易に死と滅びを連想させた…

ラーネイレ「っ…うっ…ぐっ…はぁっ…はぁっ…!」
アネモネ「っ…!?」
淀み、濁ったその大気に触れ、ガクリとその場に倒れそうになるラーネイレを吸血鬼は支えた。瞼を閉じ、蒼白の表情で崩れ落ちたその様子に、受け答え行う余裕はすでにない。急速に上昇した彼女の体温と早鐘を打つ鼓動を感じ。吸血鬼の瞳に映る、苦痛に耐えるその姿は…儚く美しい亡き妻の面影が重なって見えた。
アネモネ(彼女がそう望むから、など… 今すぐ引き返して……いかないでくれ)俯いた吸血鬼の顔は白銀の髪に覆われ。今、どんな表情をしているか見えない。だが、髪の隙間から覗く口は牙が見えるほどに大きく開かれ———床を軋ませる轢音が響き、我に返ったように吸血鬼は顔を上げた。


巨大な何かが大地に降り立つ破砕音。刹那、視界全てを、純白に脱色された表皮と無数の触手器官が覆い尽くした。奇怪、異様…。おおよそ、生物のものとは思えない喚声が地底の洞に響き渡る。
白く伸びた四肢と、城壁と見紛うばかりの大質量。樹々の隙間から這い出たその”巨人”は、奇妙な威圧と圧迫感を吸血鬼に向けて投射していた。…それは、星の生命が無意識に感じる、「敵対者」への恐怖だったのかもしれない。
アネモネ「…ははは、ふははははははっ!思いの外、面白いものが出てくるではないか。礼に、この高ぶりの相手をさせてやろう。急ぎの用があるから、あまりとじっくりとは出来ぬがな」
漠然な闇の向こうで、災厄(メシェーラ)に侵された獣の瞳が、爛々と輝き吸血鬼の姿を睥睨した。それに答えるように吸血鬼は愉悦に口角を上げ、哄笑しながら武器を握った。気を失ったラーネイレを背に庇いながら…


咆哮を上げる《星喰らい》。ドラクルとエリザが放った矢は巨体に深々と刺さり、血が滝のように噴き出している。同時に襲ってきた変異した羽虫はジルの魔法で吹き飛び、粉々となった。アネモネは銃を撃ちながら、冷静に状況を見ては下僕たちに指示し、HPが減れば治癒の雨を唱えた。何世紀も地下で生き続けた古代の生き残りは、様々な戦いを共にした吸血鬼たちには暴れるだけの大きな的であった。


ドラクルは《星喰らい》を射撃し ミンチにした。 加えられた過剰な負荷により、遂に巨人の肉体が腐り墜ちた———…
ドラクル「どこまでも生きようとする、まるで人という種を表しているような…そんなお相手でございましたね」
アネモネ「こやつが星喰らいなら、ドラクルはあらゆる命を刈り取る…魂喰らいか?ふはははははははっ! …エリザ、ラーネイレの容体はどうだ?」
エリザ「すぐに回復をかけていますけど…ごめんなさい。私、どうしたら…息が、ひどく苦しそうで…体温もこんなにも冷たくなって…」
少女の声は不安に震え、勝気な瞳から今にも涙が溢れそうだ。その手のひらからジュアの加護を宿した温かな光は止まることなくラーネイレに注がれている。だが、ラーネイレの顔色は蒼白のまま、息も微かに聞こえる程度に弱くなっている。
アネモネ「………」(ラーネイレはもっと生きたい、と思うであろう。やり遂げたい事が多いであろう。我は彼女の可能性を眺めたい。ただ、それだけの興じ……違う。我は寂しく思えるのだ)「エリザ、我に」
感情が見えない無表情でラーネイレに近づいていく吸血鬼…その時、謎の声が響き渡った。
???「困っているようだな。…アレを片づけてくれた謝礼だ。扉を開けよう、そのエルフの娘を連れてくるといい」

 


明けましておめでとうございます。気が付けばノヴィスワールドでのプレイ日記も1年近く書いていますね。だいぶイベントログを記事にしてきましたが…まだまだあるな。お話の続きが気になるので、今年に更新があるといいなー
でも、そろそろ新PCを作りたい欲が出ているんだ。他のカスタムワールドを遊びたい。