聖騎士吸血鬼の伝説31 ノースポイント-∞回廊-

elonaプレイ日記月明かりの祝福『アドニス』


眼前にあるのは開拓地には不釣り合いな屋敷。少年は緊張した面持ちで洋館を見つめていた。この場所に近づくたびに、鼓動が早まり。落ち着く気配が無かった。

アドニス(今の俺なら、爆弾岩の爆発を受けても大丈夫なはずだ…)
生命力を9上げるエンチャントがされた《暗黒竜の剣》をお守りのように強く握る。以前のHPから121→165に上がったとはいえ、何度か挑戦し。ミンチにされた少年の胸には拭いきれない不安があった。

ルシアン「…」
ルシアンはしばし考えるようにアドニスの背を見つめる。そして、おもむろに近づき…少年の小さな尻をポンっと叩いた。

アドニス「ぬぅおわっ!?いきなり何をするんだっ!?」

ルシアン「闘魂注入みたいな?いや、俺の坊ちゃんへのラブ♥パワーを」

アドニス「何がラブだ。心臓に悪いからやめろ。めちゃくちゃ驚いた…」

ルシアン「ふ。坊ちゃんのお尻、柔らかかったぜ」

アドニス「変態め…!」

ミア(…ドニちゃん。さっきと比べて明るい顔になりましたね。よし、覚えたのですー。お尻を叩くと良い!)

 

様々なネフィアを探索してきた一行は難なく道中を進み。奥へ奥へと歩み。そして、辿り着く———奇妙な屋敷の奇妙な場所に。

そこには微妙に異なる空間が連なる小部屋がいくつもあった。階段のすぐ近くには奇妙な人物が立ち。柵の向こうには爆弾岩とマスターリッチ、そして殺人鬼の手。空間を操る力を持つモンスターたちがこちらを睨んでいた。
奇妙な人物「これはこれは、興味深い客人だ。初めまして…いえ、前に会いましたかな?」
軽妙に挨拶する、その奇妙な人物には顔がなく。手足も無い。白いトレンチコートと洒落た中折れ帽子だけが宙に浮かんでいるように見える。まるで透明人間だ。

アドニス「…確かに初めまして、ではないな」
奇妙な人物「フム。会ったことは確かですか。ですが、”私は初めて”なのでご挨拶しましょう。以後は省略しますのでご安心を!ああ、なるほど。省略した私に。いえ、別次元の私に?」

ルシアン「何を言っているんだ?」
奇妙な人物「私はジェルマン。不慮の事故という奴でこの空間に足止めされていましてね。解決策を模索しているのです」

アドニス「困っているのか?」
ジェルマン「はい。ですので…戦いです!」

アドニス「え?」
ジェルマン「開始です!」
そう言い放ったジェルマンは呪文を詠唱しはじめ。周囲のモンスターたちも動き出した…!

ミア「わけがわからないですよ~~~!?」

デイビッド「そうっすね~…まあ、殴ってくるなら殴るだけでやすよ」

アドニス「ああ、まったくそのとおりだ!」


少年は爆弾岩の位置を警戒して動き。暗黒の矢を詠唱する。爆弾岩を反応させ、自爆を誘導させるためだ。その一方…分断されていたルシアンはすぐ隣にいた爆弾岩を殴り。爆発する前に破壊した。残り3体…と思ったところで、


敵か味方かが放った範囲魔法によって、爆弾岩がカチリと起爆した。

ミア「ふえええっ!?後ろから凄い風が来るのですー」

アドニス(良かった。ミアが巻き込まれなくて…)
そう安堵しようとしたが…


爆弾岩が近くにワープする。アドニス、そしてミアも爆発範囲以内だ。少年は血相を変えて叫ぶ。

アドニス「ミア、北だ!今すぐに北へ移動するんだっ!!」

ミア「ふええっ!?北!?…北、えっと北。どっち…こっち!??」

ベアトリクス「ミアくんー!かかしがある方向だよー!」


混乱しながらもミアが移動した瞬間。爆音が連続で轟いた。2つの爆弾岩が爆発したのだ。確認していた爆弾岩は4体…これで、もういないはずだ。

アドニス「ふぅ……いや、まだ終わってはいないな」
戦況はまだ良くはない。攻撃魔法を放つマスターリッチに、同じく強力な魔法を操る時空紳士ジェルマン。ベアトリクスが奮闘しているが、まだまだ新しいジョブでの立ち回りに慣れてない彼女では僅かなダメージを与えるだけだ。
ふと…がちがちと響く金属音が聞こえた。見ると。ルシアンが鉄柵を掴み、破壊しようと揺さぶっていた。分断され、格闘を得意とする本領を発揮できない状況をなんとかしようとしているのだろう。つるはしを持っている自分が壁破壊できたらいいのだが…確実に敵対モンスターの攻撃によって、邪魔されてしまうだろう。

アドニス(…そうだな。紐でルシアンを引き寄せられないだろうか)



ルシアン「いえーい!光あれー!」
紐によって、即座にアドニスの近くに現れたルシアンはそれっぽくポーズを取ろうとし。*ぐぅぅうううう*と、盛大に腹から音を発した。

アドニス「…」

ルシアン「…」

アドニス「帰ったら、焼肉にしようか」

ルシアン「優しさがつらいっ!!…許さねえぞ!ジェルマン!」
ジェルマン「はい?」


殴る殴る。ほとばしる電撃と共に、容赦ない拳がジェルマンに叩き込まれていく…!あまりの衝撃にジェルマンは帽子が脱げそうなほど仰け反る。だが、呪文を詠唱する余裕はまだあるのか。地獄の吐息が連続して、アドニスへ飛んできた。

アドニス「くっ…!」
呻き声を上げながら、少年は冷静に回復ポーションを飲み。再び地獄の吐息で瀕死になっても、再度回復ポーションを飲む。

アドニス(このまま耐えるんだ…!後少しで終わるはず…!)


ルシアンは時空紳士『ジェルマン』を殴って軽い傷を負わせた。時空紳士『ジェルマン』は神経を蝕まれて死んだ。
ジェルマン「退きましょう。…これで確信しました。時、いや運命というものは実に面白い。恐れず、自分の進むべき道を歩んでください。貴方は1人ではない」
そう言い残して、ジェルマンは空間の狭間に消え去った。不可解な言葉に一行の頭に浮かぶのは疑問符だけだ。

アドニス「…」

ベアトリクス「あれほどの攻撃を受けても、どこかへ消える余力があるなんて…。まだ実力を隠しているような…そんな底知れなさがあったね」

ルシアン「うーん…まあ、意味がわからないことをあれこれ考えても疲れるだけだろ。また会って、敵意があったら殴る!それでいいじゃないか」

ミア「アンちゃんは短絡的ですねー…ま、ボクも同意ですけど」

アドニス「俺もそうだな……ぬ?何か落ちているな」



ベアトリクス「ジェルマンが被っていた帽子みたいだね。…妙な魔力の感覚がするけど。装備しても害は無さそうだよ」

アドニス「うーむ…俺が装備するには良さそうなエンチャントだが……ミアにも良さそうだな。受け取ってくれるか?」

ミア「わーい!おニューの帽子ですね!」
半妖精は嬉しそうに渡された《四次元ハット》を装備した。すると、アドニスが被るにはちょうど良いサイズだった帽子はみるみる妖精サイズへと変化した。

ミア「えへへっ。似合ってますかー?」

アドニス「…」(いつ見ても不思議な光景だ)
一度、ミアにサイズが変わる謎について聞いてみたが…わからないと返ってきた。ちなみに巨人やスライムでも同じような現象が起こるらしい。

ミア「もー!ドニちゃん、聞いてますー?」

アドニス「気になる…ミアの」

ミア「ふえぇっ!?そ、そんなボクのことを~~~!きゃ~~~~!」

アドニス「ぬう??」

 

育ってくると道中に見所が無くなってくるものだ…成長してるってことだが。
1番の難敵である爆弾岩はアドニスとミアを巻き込まずに爆散しましたね。なんというラッキー。戦力が分散させられるボス戦でしたが、紐でルシアンがすぐ隣に来てくれたのも良かった。安心安定の拳だな。

 

~レシマス果樹園~

ドドドドドドドドドドドドドドン!響き渡る体当たりの音と共に可愛らしい赤色の粒が2つ付いた果実…さくらんぼが地面に転がっていく。ここはレシマス。多くの冒険者によって、畑や果樹園にされているネフィアだ。

ミア「わ~さくらんぼがいっぱいですね~」

アドニス「コツコツ畑の権利書で買い集めたかいがあるな」



アドニス「時に妹の木に誘惑されたが。お兄ちゃん…お兄ちゃん…と真っ直ぐな視線で俺を見つめる瞳から、目が離せなくて…」

ルシアン「はは…坊ちゃんの忍耐強さに感謝するぜ」

ベアトリクス「1本ぐらい取っておいても良いと思うけどね。滅多に見かけない珍しい木のようだから。研究…ううん、可愛いと思うし」

ミア「可愛いですかね~…ボク、ちょっと怖いですよー」

デイビッド「アッシも…。ふと見ると、確実にこちらを見ているんすよね。妹が」

ルシアン「ああ、やっぱり。デイブにもそう見えているんだな~。ビビるよな~」(…ベアさん、なんか研究って言いかけてなかったか?)



アドニス「まずは宝石の種で畑を埋めることにした。ハーブは今の栽培スキルでは枯れてしまうだろうからな。…早く皆にいっぱいハーブを食べさせたいな」

ルシアン「最初はそんなもんだし。訓練費用だって大事さ」

デイビッド「そうでやすよ~。アッシの懐でピカリピカリのチャリチャリな金貨となる日が楽しみですぜ」

ルシアン「それに拾った種をちまちま植えていた頃と比べて、こんなに沢山植えることが出来るようになったんだぜ。アドニスは大きく成長しているよ。背は相変わらず可愛いけど」

アドニス「一言余計だぞ…少しは伸びているはず!」

ミア「ドニちゃんは今のままでも充分、素敵でキュートだと思いますよー」

アドニス「…俺は父上のようになりたいんだ」

ミア「ふえ?ドニちゃんパパも可愛かったですよー?つまり理想通りです!」

アドニス「ぬ、ぬう…」(今度、来た時に男性の姿になってくれるようにお願いしておくか…)

 

少し短かったので、育成状況も。まずは宝石畑でスキルを伸ばしつつ、いずれハーブ園に…なところです。クッキー工場禁止&ユニークNPC装備狩り出来ないのが正直大変だったが…やっと稼ぎや育成を本格的に出来そうだ。

5月2日にElinのクラウドファンディングが開始されるようですね。長年、遊んできたファンの1人として。微力ながら支援できるといいな~。

 

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