デイビッド「魔石ダンジョン、下水道、竜窟…と色んな場所を冒険しやしたねー」
ルシアン「アーティファクトもここまで集まって、壮観だよな~。…ジュアの抱き枕群もえらい光景だが。家具も揃ってきたし、そろそろ片付けたらどうかな?」
アドニス「新しい置き場が決まったらな。今まで皆で寝転がっていたけど、そろそろ個室も作らないとな」
ルシアン(絶対並べておきたいんだな…)
ベアトリクス「おや、皆で抱き枕の中に埋もれるのはなかなか楽しい経験だったから、それは寂しいね」
アドニス「…」(ルシアンとデイビッドならともかく。ベア姉まで雑魚寝させるのはどうかと思っていたからな…)
ベアトリクス「それにしても、空と海の地平線を背に、時に太陽と月の光を浴びる神像は本当に美しいね。素晴らしいセンスだ」
アドニス「ありがとう。報酬に貴重品を渡してくれた依頼人に感謝だな」
ルシアン「坊ちゃんの運の良さにも感謝だな。謎の貝やアルバレストとか強いし。更にもうひとつストラディバリウス拾っているし。ホント持ってる男だぜ~」
アドニス「随分と持ち上げるじゃないか。褒めても、何も出ないぞ?」
ルシアン「ふふっ。安心しろ、俺がご褒美に何かする側だから!坊ちゃんになら、ちょ~っとだけ」
アドニス「何もするな」
アドニス(…あのひとは今、どうしているのだろうか?)
ルシアンのふざけた言動にぴしゃりとした返事をしつつ、アドニスはふとルルウィ像を見つめ。あの暗い瞳をした依頼人のことを思い出した。
悩める魔術師レントン。通りかかったアドニスに亡き妹の思い出の品であるレイチェルの絵本を集めてきてほしいと、依頼した人間だ。彼の沈んだ表情が気になったアドニスは生真面目に様々なネフィアで探し、あるいは冒険者との交換でせっせと集め。ようやく全巻を渡せたが…レントンは内容を読んだ途端、豹変し。アドニスの目の前で本をビリビリと破り捨てた。神が与えた才能が無い者にはどうしようもないことだった…。と、そう嘆いて。
アドニス(ルシアンは深入りしない方がいいこともある。そう言っていたけど。俺は、あのひとが言っていた”どうしようもないこと”が気になるんだ…)
父のような偉大で強い存在になりたい。守られるより守られるようになりたい。そう思って飛び出したけれど、現状はルシアンに守られてばかりだ。自分がまだ子供だから?それとも、これが生まれ持った才能の差で、努力など無意味なことなのだろうか…。そう、レントンの言葉が少年の心に棘のように刺さっていた。
アドニス(この前も11歳から9歳になって、皆に可愛い可愛いと言われたし…もっとしっかりしたいな)「…色々と揃ってきたが。やはりアレが無いと大変だな」
ルシアン「アレって?」
アドニス「ああ。だから、これからノースポイントに行こうと思う」
ルシアン「え、そうか。うん、行こうぜ~」
ベアトリクス「話に聞く開拓地か。それは楽しみだね」
デイビッド「姐さんが楽しめそうなネフィアがいっぱいっすよ。アッシも久々でわくわくしやすねー」
ルシアン「…」(結局アレって、何…?そしてノースポイントって突然だなぁ…。まあ、なんか考え込んでいるよりはいいか)
ちなみに呪われた加速ポーションで年齢を戻しました。RPしている身にはかぼちゃへの殺意が高まる。
ベアトリクス「なかなか賑やかなところじゃないか。このジャーキーもうっまいね」*もぐもぐ*
ハゼリー「いや~、あんたみたいな美人さんにはサービスだぜ。どんどん食べな!」
アドニス「…?」
少年の記憶が正しければ、以前もらったことがあるジャーキーは”まっずい”ものであった。そう名称が付くほど、見た目も良くなく。試しに食べるのも躊躇うほどだった。いまだ、まっずいジャーキーは倉庫で眠っている。
ルシアン「おっかしいわよ~。俺、眼鏡をかけた綺麗なお姉さんなのにぃ」
デイビッド「そうでやすわよー。アッシもキュートな後輩系メイドさんでやすのに~」
アドニス「俺も……いや、なんでもない」
そういえば、エンチャントのマイナス表記を見て食べずにそのまま触れてなかったな…。
ベアトリクス「…?この森ネフィア、なんだか普通じゃないような?」
ルシアン「周囲から孤立した森林…この特徴……ノースポイント拠点のおっさんから聞いた特別なネフィアに一致しているな。確か珍しい獣が潜んでいるって話だな」
アドニス「せっかく見つけたんだ。行ってみよう。珍しい”犬”に会えるかもしれない!」
ルシアン「そうだな!…うん?犬?」
パッと見、ただのランダムネフィアかと思った。ノースポイントにどれぐらいの固定ネフィアがあるのか調べてなかったら気付かなかったな。
アドニス「紅い花園と違って、けっこう深い森のようだな」
ルシアン「あの頃の俺たちは冥界の使いの出迎えに焦ったよな~。今じゃ超余裕だけどな」
アドニス「流血花をフラワーサメだーと叫んでいたルシアンは今思い出しても面白かったな」
ルシアン「はは…そんなことよく覚えているなぁ」
アドニス「日記に書いているからな」
デイビッド「まだアッシがボスたちの元に来る前の話でやすね。今度、読ませていいっすか?」
ベアトリクス「私も読んでもいいかい?」
ルシアン「いいぜー。見せてやろうぜ。坊ちゃん伝説を!」
アドニス「お前が返事するな。それに伝説じゃない、日記だ」
デイビッド「伝説って書いていやすけど?」
アドニス「それはルシアンの仕業だ…」
ルシアン「でも、消さないんだな」
アドニス「…無理に消したら、汚れそうだし。父上からもらった日記を大事にしたいだけだ」
ルシアン「ふふっ。本当は良いって思ってるだろ~」
アドニス「お前みたいな…阿呆だと思ってるよ」
アドニス「あ…」
ルシアン「どうしたんだ、アドニス?……え。食料これだけしか持ってなかったの…!?」
アドニス「さくらんぼは先ほど収穫したものだ。すごく新鮮だぞ」
ルシアン「ははっ。採れたてだからな!」
アドニス「ふふっ。そのとおりだな……うん。今度から気をつける」
ルシアン「そうしてくれ。…いやホント驚いた」
いつの間に、こんなに食料が減っていたんだ…(マジなうっかり)
まさかの食料問題が発生したが、森ネフィアに実る野菜と果物でなんとか腹を満たした一行は、無事に森の最奥に辿り着いた。
一匹狼ゼイン「ガルルルルルル」
アドニス「犬…!」
ルシアン「なんか違くないか?こいつは…もしかして、狼なのか?」
ベアトリクス「それなら確かに珍しい獣になるね。私が調べたかぎり、種族狼の目撃情報は近年では無いみたいだから」
アドニス「それは…ぐっ!?」
人目がつかない場所で静かに住んでいたところを無遠慮に踏み込んでしまったんじゃないか?そう気づいたアドニスは衝撃に呻いた。興奮した一匹狼が体当たりしてきたのだ。鋭い眼は怒り狂い、黒い毛並みを逆立てている。少年たちを完全に敵と見なしているのだ。今から去ろうにも、どこまでも追いかけて来そうな殺気をこちらに向けている。
アドニス「…すまない」
そう呟き。けれど、目を逸らさず。少年は武器を手に取った。
一匹狼は機敏に走り回り、招かれざる訪問者に容赦なく噛みつく。その獰猛さは今まで一匹で生き抜いた強さだったのだろう。だが、今日で終わりだ。
ルシアンは一匹狼『ゼイン』を殴って軽い傷を負わせた。一匹狼『ゼイン』は神経を蝕まれて死んだ。
アドニス「…よく見たら、首輪を付けている。元々は誰かが飼っていたのか?逃げたのか、捨てられたのか」
ルシアン「俺たちにはわからないことさ。ただわかるのは…この森には孤高に生きた強い狼がいたってことだ」
デイビッド「ただ憐れみだけを向けないでくだせえ。誇りを持って戦ったのでしょう」
アドニス「…うん。俺は忘れないよ」
ベアトリクス「この首輪…特別な感じがすると思ったら、なかなかすごいエンチャントだね」
アドニス「確かにそうだが…」
ベアトリクス「”忘れない”だろう。ここに埋めていけば、忘れられるだけさ。私は持っていくべきだと思うよ」
ルシアン「俺も同意だな。それに、アドニスの細く白い首に似合うと思うぜ」
アドニス「……変態?」
デイビッド「アニキ…少年に首輪をつけたい趣味があるんすね」
ルシアン「ええ…!?」
アドニス「ふ、冗談だ。…大切に使わせてもらうよ」
虚構の街でちょっと爆死した気分転換で挑んだらクリアしてしまった。加速持ちによる速度優位があったかもしれないが…数の暴力には勝てなかったようだ。入手できるアーティファクトは透明視があるので、賢者の兜をメダル交換しなくていい利点がありますね。後、妖精とか装備縛りしている人向け。アドニスに長く愛用させるかもしれない。絵面がまあ…アレだが。
コメント