クレイモア吸血鬼の旅行記91 覆水盆に返らず

elonaプレイ日記踊れ月光『アネモネ』



アネモネ「ほう。これは…美味しい」

マリー「噛みつく気なのか。鉄の塊を」

アネモネ「想像してしまったではないか…ぞわぞわする。そんなエリザのような無体はせぬよ」

エリザ「あなたの牙って、繊細ね。頑丈な装甲を穿つのは快感ですわよ」

アネモネ「ふふふ。なら、我にその喜びを感じて…ぬぐわっ!?いひゃい!頬をひねぇるなっ」

マリー「…。それでどういう意味で言ったんだ?」

アネモネ「まずは倒してからだ。そのぽやっとした面を引き締めろ」

 



マリー「混沌の渦*****+に、暗黒属性追加ダメージ*****+のエンチャント付き…!?」

アネモネ「ふははははは!美味い、であろう。イェルス縮退砲は確定でそのエンチャントが付いた装備をしているのだ。うむ、少しマイナスエンチャントがあるが…奇跡品ならアーティファクト合成が出来るな。素晴らしい!」

ドラクル「他にイェルス榴弾砲、イェルス波動砲、エーレンベルクも強力なエンチャントが付いた銃器を所持しているようですね」

アネモネ「我の銃をそろそろ新調したいものだ。ふふふ。また”機械”のネフィアを見つけたら、”機会”を狙うぞ」

マリー「機械で機会…?」

アネモネ「復唱しないでくれ」

 

アセリア大陸西部あるいは東部でエーテルの風を起こして狩りをするというのを見かけて、1度試したことがあるが…あまり出現しない?そして、エーテル抗体の消費が激しく。マップをウロウロするの面倒になってきたのでやめた。機械のネフィアを見かけたら…と、のんびり集めていくかな。

 


玉座が落ちている。まさにそのとおり、緑生い茂る地面に細やかな装飾がされた黄金の椅子が置かれていた。赤いベルベットのクッションが座り心地よさそうだ。

エリザ「たまにベッドやタンスが落ちていることがありますけど。玉座はびっくりですわね」

アネモネ「地殻変動によって、様々なネフィア(遺跡)が混ざり合って地上に出てくるらしいからな。どこぞの廃城から転がってきたのだろう」
何気なく吸血鬼は玉座に座った。身体を少し傾けて顎を片手の上に乗せ、足を組む。堂々と不遜、無意識にそんなポーズをしていた。

アネモネ「…?」

ジル「わぁ~ マスター、とっても素敵ですです~」

アネモネ「…ふふ、そうであろう。麗しい我に相応しいな。何か縁だ、持っていくとしよう」

 



アネモネ「ここにするか。客人を出迎えるには良い場所であろう」

エリザ「そうですわね……あの、座っていいかしら?一度、こういう椅子に座ってみたかったの」

アネモネ「なんでも仰せられよ、美しい女王様。跪いて、足にキスしてやろうか」

エリザ「あ、あなたは…すぐそういう冗談を言う…!」

アネモネ「ははは。マリーから鞭を借りるか」

マリー「変なことに使おうしないでくれ…」

 

玉座を置く予定無かったので、とりあえずここに。ネフィアで★遺伝子組み換え機を昔拾ったことがあるけど、玉座は初めてな気する。

 

*ここからはほぼ小説みたいな内容になります。


アネモネ「…」

マリー(…?)
視界の端で影のようなものが動いた気がした。もう一度、何か見えた階段の辺りを凝視するが…何もいない。蝋燭が揺らめく室内は薄暗く、ただの気のせいだったかもしれない。目的どおり、イルヴァについて書かれた本を持って自室も戻り、寝るまで読もう。…だが、そうしようとマリーは思えなかった。以前に地下室を調べた時の出来事が脳裏に浮かぶ。


世話になっている身で探るような行為をするのは心苦しさを感じたが、やはり気になって仕方なかった。バンパイアハンターとしてか、それとも人間の好奇心というやつか。マリーは地下室に降りた。まず倉庫らしい一室にある大量の樽を調べたが、どうやっても蓋が開かなかった。そこから廊下を進み、途中に扉を見つけたが、鍵がかかっていた。体当たりで開けるという方法を考えたが、あまり騒ぎになるような事はするべきじゃないと、今は放置することにした。そして…辿り着いたのは棺が並べられた部屋だった。

マリー(棺桶に神聖な祭壇…墓所なのか)
棺に納められているのは死体?それとも…。生唾を飲み、恐る恐る中を見ようと手を伸ばした時。背後から声が聞こえた。

アネモネ「パンでも入れる気か?虫が湧く。ガーンナの仕事が増えるから、やめてくれぬか」
驚きに振り向くと。愉快そうにこちらを見つめる紫の目と目が合い。血の気が引く感覚がした。

アネモネ「バンパイアハンターくんが期待するようなものはここには無いぞ。それはただの飾りで、空っぽだ」

マリー「…清めに、退治するつもりでここを調べたわけじゃない」

アネモネ「なんだつまらん」
それだけ言うと、吸血鬼は興味を失った様子で去っていく。安堵するより恐怖を感じた。機会があれば、いつでも自分と殺し合いをしたい。あの歓喜した目は…そう望んでいる。

 

 

鍵がかかっていた扉は、まるで入れと言わんばかりに開いていた。そこから漂う匂いに、マリーは顔をしかめ、むせそうになる。ここまで来てしまった以上、戻る気はない。気を付けながら、階段を降りていくと暗い部屋を照らす光が見えてきた。暖炉…いや、溶鉱炉の近くにある高級ソファーに誰かが座っている。ひどい異臭に滲んできた涙を拭い、正体を見ようとマリーは目を凝らした。


アネモネ「もぐもぐ」
吸血鬼は食事しているようだ。僅かな明かりの中でもわかるほど真っ赤なものを食べている。

アネモネ「…ぬ?マリーではないか。そなたも小腹が空いたのか。食べるか?」

マリー「食えるか。そんな…そんなもの…!」

アネモネ「ひどい言われようだな。我好みの唐辛子たっぷりトマトカレー…美味いのに。そうだ、ニンニクも沢山入っておるぞー バンパイアハンターなら、かならず持ち歩いている好物だろう」

マリー「ありがとう。何も意味が無いことがわかった。…ところで、なぜこんな場所で食事を?そもそもこの部屋は一体…」
闇に目が慣れてくると、嫌でも何なのかわかる。ギロチンにアイアンメイデン。隅に転がる骸、用途を想像したくない道具等…。

アネモネ「ふふふ、怖いか?拷問部屋と牢屋風インテリアコーディネートしたのだ。たまには食堂以外で食べる気分転換に良い場所であろう」

マリー「悪趣味だ」

アネモネ「エリザにも同じことを言われたな。…ああ、そうだ。そなたに試飲してほしいと思っていたものがちょうど完成したのだ。いつまでもそんなところに立ってないで、こちらに来い」

 



マリー「トマトジュースとトマト酒…トマトソーダ??」

アネモネ「空瓶にトマトを入れ、樽の中で2日ほど漬けるとジュースが出来上がるのだ。トマト酒はウィスキーにトマトを…確か16日ほど漬けたものだな」

マリー「どれほどトマト好きなんだ」(樽の中身はこれだったのか…?)「……ジュースの見た目が汚水と同じなんだが」

アネモネ「大丈夫だ。飲み物だから、飲める」 吸血鬼は笑みを浮かべながら、トマトジュースの蓋を開けた。

マリー「納得できるかー!やめ、うわああああああっ!!」

 

差し替えしていると汚水と同じ見た目になってしまうんだ…。ちなみにウィスキー+食品の組み合わせは60日前後が成功率高いと書かれていたが、長すぎてね…つい開けてしまった。いくつかは成功したものが出てくるんだな。



マリー「まあ…美味しかったよ」

アネモネ「ふふふ。せっかくだから、一緒に飲まないか。年代物や珍しい異国の酒など密かにコレクションしていたものがあるのだ」

マリー「いや、そろそろ寝ようとしていたところなんだ。遠慮する」

アネモネ「そうか…。つまみも用意してしまったのだが…我1人で食すか」
いつのまにかバーベキューセットで調理された肉料理がテーブルに並べられていた。食欲をそそる匂い、つやつやと光る油がのり、肉汁が滴っている。先ほど吸血鬼が食べている姿を見ていただけあって、さっきから腹が減っていたが…もう我慢など出来るはずがなかった。

 


アネモネ「鍵をかけていた理由…?危険物が多いからな。知ってるか、アイアンメイデンとギロチンを使用すると9999のダメージを受けるのだぞ。それと錬金術の研究過程で出来た媚薬+64をしまっているのだ。うっかり浴びたら…ひたすら喘ぎながら卵と乳を20個以上も生み出すことになるぞ」

マリー「…」 マリーは口につけようとしたグラスを遠ざけるようにテーブルに置いた。

アネモネ「さすがにそのような悪戯はせぬわ」

マリー「それに談笑して飲めるほど、私は神経太くないんだ…。ところで、その恰好はどうしたんだ?」 記憶が正しければ、幼女の姿と同じ表も裏も赤いマントを纏っていたはずだが、今は夜のような漆黒の裏で血のような真紅が揺らめくマントを身に着けていた。

アネモネ「ドラクルに貰った。この姿で来るようにと、あやつの部屋に呼び出され。脱いでいただけませんか。と、言われた時は恐ろしい思いをしたが…これを着てほしかったようだ。麗しい我によく似合っているだろう」

マリー「昔から妙な奴に…いや、その。ほんとに似合ってるな」

アネモネ「…。この前、お年玉を願った我に私より年上だろうと叫んでいたが。何歳ほど上なのだ」

マリー「…覚えてないな」

アネモネ「時折、古い友人が…と話すことがあるが、それは我のことじゃないか」

マリー「違う。お前とあいつは別の存在だ。アネモネ、お前には今のお前が築き上げた絆がある。過去の記憶にこだわるより、それを大事にしてくれ」

アネモネ「幸せだと思っておるよ。だがな、いつまでも続くとは思えぬ。稀に頭痛がする。何か思い出しそうな…激しい衝動がして消えていく…。なぜ我は吸血鬼となったのか。その理由を思い出すことがあったら、我は我のままでいられるのか……。エリザが哀れだ。いつ別人のように変わってしまうかもしれない奴との結婚をいつまでも期待させるなど」

マリー「そう…だったのか。彼女とはもう結婚しているものばかり思っていたが…」

アネモネ「我は先に進みたい。どういう結果であれ、思い出したい。…もし、エリザや下僕共に危害を加えるようなら……マリーよ、我を殺せ。そなただからこそ、頼めることだ」

マリー「私に……。お前…お前な……っっ!!………っ!」 怒りに唇を戦慄かせるマリーだが、吐き出されようとした言葉を飲み込むように酒瓶を掴み。一気に飲みはじめた。

アネモネ「マ、マリー。そんなに飲むと身体に悪いぞ」 そう声をかけるが、マリーは聞く耳を持たず。どんどん酒瓶を取り、乱暴に飲んでいく。「待て。それはまだ飲んでない奴だ。これは手に入れるのに苦労して…ぬわああああっ!」

 



アネモネ「………」 マリーの勢いについていこうと飲み、吸血鬼は酔い潰れていた。

マリー「…はぁ」 散乱した空瓶を眺め、疲れた溜息を吐く。(後で謝ろう…。だが、さっきの言葉は…追いつめられたら、追いつめられた方向に全力疾走する性分なのか)
ひどく静かだ。そう思えたのは、目の前で寝ている吸血鬼はまったく寝息を立ててないからだ。まるで死体だ。けれど、さっきまで話していた。かつての友と同じ顔で。けれど、知らない顔だ。

マリー(そう。あいつのこんな呑気な顔は知らない…何も言ってくれなかった。あの時とは違う。悲劇を繰り返すなどあってはならないことだ…!)
そう決意するように胸の十字架を握る。アネモネから貰った指輪が静かにきらめいた。

マリー(……眠い。さっさとベッドに潜り込みたいが…ここに放置していくのもな)「おい、起きろ。床に転がっていると、ガーンナさんに掃除されるぞ」

ドラクル「それは困りますね」
足音がまったく聞こえなかった。まるで影の中から現れたかのように。老紳士は口角を上げて、笑う顔を作った。

ドラクル「今夜はお楽しみでしたね」

マリー「その言い方はやめてくれないか…」

ドラクル「とても楽しそうでしたので。…お疲れでしょう。後は私に任せてください」

マリー「手伝うぞ。この図体を運ぶのは大変だろう」

ドラクル「問題ありません。…旦那様、旦那様。愛らしくも麗しい少女のお姿になってくれませんか」

アネモネ「…ぬぅ~……」 返事というにはうめき声だったが、聞こえたらしく。寝返りした途端、幼い少女の姿に変わっていた。

ドラクル「感謝いたします。それでは、失礼しますね」 老紳士は、丁寧に吸血鬼を抱き上げた。

マリー「…少し前に、私にアネモネをどう思っていると問われたが。貴殿にその質問を返そう」

ドラクル「あの方の傍で、ずっと眺めていたい。混沌と死に満ちた世界を。永遠に忠実な下僕として…それだけでございます」
そう言い残し。再び闇に溶け込むように消えていった。

マリー「…」

 

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