クレイモア吸血鬼の旅行記70


アインク「ああ…アネモネさん!看守に伝えて下さい。私は無実だと…。せっかく騎士になれたのに、どうしてこんな事に…」
アネモネ「…? 誰だが知らんが、悔い改めよ」
アインク「く、悔い改めるもなにも、本当に悪事なんて働いてないんですよ!冤罪と訴えても、誰も話を聞いてくれない!あれよあれよという間に、こんな寒い牢屋の中に放り込まれて…うぅ…ブルブル…イィーックッ!!」
アネモネ「ぬう?その特徴的な口調は…ヨウィンの替え玉男か。なぜ、このような場所にいるのだ」
アインク「実は2ヶ月前…」


アインク「私は夢と希望が溢れ、兵隊長にも期待される新米騎士でした… ですが、夜回りでとんでもない場面に遭遇したのです」
アネモネ(イーク退治をしたのは3年前だが…その間、何をしていたのであろう?)


アインク「イーックッ!思い出すだけでおぞましい…!なんと、パルミア宰相イーヴァンが王侯の方々の衣裳部屋でパンツ一丁でねうねうしていたのです!!」
アネモネ「そんな話、聞きとうなかったわ…」 吸血鬼は心の底から嫌そうな顔をした。
アインク「ああっ去ろうとしないでっ!気持ちはわかるけど。目撃してしまった私はスターシャ陛下の下着に不埒なことをしていた、という不名誉な濡れ衣を着せられて…今に至るわけです。思い出したらなんだか情けなくなってきた…。宰相の奴はろくに弁明もさせず、罪を全部私に覆い被せるつもりなんだ。くそう…」
アネモネ「…何も成しえなかった男に相応しい末路ではないか。イークに挑む力も知識もない、そのような事態に何も出来なかったのは当然だ」
アインク「…っ!………いえ、そうですよね。私には誇れるものがありません…それでも、私は…!パルミア国の騎士として、どうしてもイーヴァンの魔の手からスターシャ陛下を守りたい。だから、どうか…!」
アネモネ「その言葉、けして違えるな。我とて、そのような奴が王妃の側におるのは不愉快だ。貴様を証人として王都に連れて行ってやろう」
アインク「本当ですか…!ありがとうございます!…ですけど、脱獄すると言っても、正門から外を目指すのは厳しそうですね。どこかに抜け道でもあると良いんですが…」
アネモネ「先ほどから気になっていたが…貴様が居る獄の奥に空間があるようだな」 吸血鬼はそう言うと、鉄格子を霧のようにすり抜けて、奥の壁を拳ひとつで破壊した。開いた穴から薄暗い廊下が見える…どこに通じているのだろうか?
アインク「ぼ、冒険者ってすごいですね~… まるで吸血鬼みたいな…あははは」


アインク「ここは…まさか、看守たちが話していた重犯罪用の地下独房…!?」
アネモネ「監獄にこのような場所があるとはな。とても出口があるように思えぬが…戻る余裕は無いようだな」
プリズンガード「なんだ!?お前らはっ!!」「脱走だぁっ」
アインク「あわわわっ!どうしようっ!!」
アネモネ「知らぬのか?敵対しているなら、ミンチにすればいいことだ」 そう言い放つと、プリズンガードたちを容赦なく大剣で薙ぎ倒していく吸血鬼。飛び散る血に恍惚と笑みを浮かべている。
アインク「ひええっ!?」 怖い!と叫びそうになったが、恩人に対して失礼だと思い。アインクはなんとか口を閉ざした。


巡回兵「逃げ切れるとでも思っているのか」「こっちだ!」
アインク「イイーックッ!!看守たちがこんなにも…」
アネモネ「我の側に寄るには華やかさが欠けるな。ふははははははははっ!美しく彩ってやろう」 吸血鬼はためらなく火の魔法を放った。赤々とした炎が薄闇を照らし、哀れな悲鳴が響く。石畳に広がる血の上を踊るように深紅のマントを翻しながら、幼女は呵々大笑と進んでいく。
アインク「うわああ… でも、楽しそう」 恐ろしい光景であったが、妙に目を逸らず。気が付けば、そんなことを呟いていた。胸がドキドキするのは今までない刺激だからだろうか。

 

正規方法では避けるかテレポの杖を使えばいいんだろうけど、群がってくるのが邪魔だなぁ…と思えて、ミンチにした。


アインク「な、なんでしょう、この階層…。何故だか妙に骸骨が多いような…ま、まさか恐ろしい魔物でも隠れているのでしょうか?」
アネモネ「いや、ここにいるのは…」
不意に足元に散らばる屍骸の山から、カタカタと奇妙な音が鳴り響く。それが髑髏の顎が噛み合う歯音だと気付いた時、眼前の白骨が波打つように蠢き始めた。部屋中から聞こえる、しゃれこうべ達の大合唱。一塊となった髑髏の群れが、津波のように吸血鬼たちへ向かって押し寄せる————…
アインク「うひゃあああっ!で、出ぇたぁああああああっ!!」


アインク「わ、私はこんなところで…」
アネモネ「…」 吸血鬼は怯える青年を静かに見据えていた。
アインク「死にたくないっ!」 恐怖に声を震わせながら、けれど武器をしっかりと握り。アインクは英雄と聖なる盾を唱えた。
アネモネ「ふ… アンデッドなら火炎に弱い。我の魔法に燃やされるなよ」


ボルトは『牢墓の王』に命中し 燃やし尽くした。 洞窟の奥から光と風の湖流を感じる…。
アインク「やったぁ…!ここから外へ出られそうですね。私一人では先ほどの化け物を倒せなかったでしょう… 本当に助かりました」
アネモネ「仲間入りしなくて良かったな。先ほどの骸は有罪であれ無罪であれ、二度と日の光を見ることなく死に。埋葬も祈りも無く、捨て置かれた囚人たちの怨みの集合体だ。まあ…しばらくは静かにしているだろう」
アインク「…宰相はここの監守長に薬の横流しをしていて、私のようにマズいこと知られた、あるいは逆らった者を無実の罪で拷問し死ぬまで閉じこめているとかで、あの骸たちは… 私は絶対に宰相の罪を暴かなくては」
アネモネ「はははっ。少しは無念が晴れるかもしれんな。リコールルーンを使うぞ、我から離れるな」

 


アインクを戦わせたかったが、LV30だから少しは耐えるけど死んでしまうんだよな。

 

イーヴァン「本日の応接は以上です、スターシャ陛下。いつもながら見事な采配でございました」

イーヴァン「いえいえ、そんな事はございません。陛下は今でも十分艶めか…もとい、お美しくあらせられます。おお、そうだ…お疲れでしたら今度、部下に私の気に入っている銘酒を持たせてお贈りしましょう。媚薬…もとい、体を温める作用もありますからきっと心地よく眠れることでしょう!」
スターシャ「は、はぁ…。ではありがたく頂きますね。…そういえば宰相、先日投獄された近衛騎士の若者の件はどうなりましたか?」
イーヴァン「ああ…あのスターシャ様のパンティに頬ずりをして身悶えておった変態ですか…。今頃は牢屋の中で自分の愚かさを悔いていることでしょう。なにせ、女王陛下のパンティといえば国の至宝。侵すことの許されざる聖域でございますからな…!」
スターシャ「こ、声が大きいですよ…。しかし、幾らなんでも下着を手に取っただけで懲役刑というのはやり過ぎでは…。彼の言い分にも耳を傾けるべきではありませんか?城の召使いたちの話では、実直で真面目な青年だという事ですが」
イーヴァン「な、何をおっしゃいます!これは立派な不敬罪ですぞ!イェルスで同じ行為に及べば、その場での極刑は免れません!」
アネモネ「なら、貴様は極刑であるな」


イーヴァン「なんだ貴様は…こんな時間に王宮を訪れるとは無礼な。…なるほど、噂で聞く常闇の眼の冒険者か。さすがは育ちが悪い無法者。我々の常識は通用しないと見える」
アインク「真の痴れ者が何を言うか!スターシャ陛下、どうか騙されないで下さい!」
イーヴァン「んなっ!?」
スターシャ「まぁ…貴方は…」
アインク「正直に、ありのまま起こった事を告白します。あの日、衣装部屋に押し入ったのは私ではなくイーヴァン宰相でした。彼は私に全ての罪を被せ、自らの犯行を隠蔽しようとしたのです。そして、私は確かに見ましたイーヴァン宰相がドサクサに紛れて、スターシャ陛下のパンティを懐に忍ばさせている姿を!彼の身辺を洗えば、必ず動かぬ証拠が見つかる筈です!」
スターシャ「…そういえば、私が愛用している下着が一着、いつの間にか衣類箪笥から消えていたような…」
イーヴァン「で、出鱈目だ…!苦し紛れに適当なことを抜かしおって!誰がお前のような馬の骨の言うことなど…」
兵隊長「————見つかりました!宰相の部屋のベッドの下から、エロ本と一緒に女王陛下のパンティが!!」
イーヴァン「あ!兵隊長、貴様勝手に————…」
アネモネ「我が頼んだ。男の部屋など調べたくないからな」
スターシャ「……イーヴァン宰相?」 困惑の表情を浮かべながら、女王の目はひどく冷たいものであった。
イーヴァン「…!…………………っ!」 不利だと気付いた瞬間、脱兎のごとく逃げ出した。
スターシャ「お待ちなさい!誰か…!誰かその男を捕まえるのです!」

 


アネモネ「うむ。騎士としての誇りを忘れずに励むがよい」
アインク「…最後に気になっていたことを聞いていいだろうか。アネモネさんはなぜ収容所に訪れていたのです?」
アネモネ「知りたいのか、そんなことを…?」 吸血鬼はにやりと口角を上げて笑う。そうすると真っ白な長く尖った八重歯がよく見えた。
アインク「……あ、いえ。やっぱいいです」 世の中、知らないままの方が幸せなことがあるかもしれない。まだまだ気弱な青年はそう思った。

 

 


アネモネ(思わぬ寄り道をしたが…さて、トイレを持っていくか)
飲めば願いが出るかもしれない。家具としても使える。そして、店で売れば入手が難しい井戸や噴水に交換できるかもしれない。冒険者の常識だ。
イーヴァン「おのれ…儂にこのような扱いをしおって、パルミアの蛮族共め…!!ここから出たら、今度こそスターシャを儂の従順な雌奴隷に躾し直してやるわ!グフフフフッ」
アネモネ「…」
イーヴァン「き、貴様は…!…ふん、こんな事で儂に勝ったつもりか。いずれ儂の力を思い知らせてやるわ。貴様にもスターシャにもな」
アネモネ「力?いずれ?なら、今示してみせよ」 吸血鬼は鉄格子の向こうに元宰相へ手を伸ばした。その瞳は炎のように赤く揺らめいていた。
イーヴァン「は!何を言って……ひ、あ、あ、あああ…あああああああああっ!?」

 

アネモネ「…くそのような男だな。生きながら鼠のエサにでもなれ」
あまりの恐怖に目を剥き、泡を吹いて気絶する元宰相を吸血鬼は醒めた目で見下していた。
アネモネ「これは貴様には過ぎたものだ。預かってやろう」
吸血鬼は元宰相の懐からとてもセクシーなデザインの下着を取り出した。たしか行方知らずになっているパンティがまだあるとスターシャは話していた。間違いなく盗まれたものだろう。
アネモネ(先ほどまで奴の手元にあったと思うと気持ち悪いであるな。自宅に帰還したら、エリザにバレないように洗い。いつもどおりドラクルに…ふふふふ)

————スターシャ王妃のパンティはいまだ行方不明らしい。