クレイモア吸血鬼の旅行記68 ノヴィスワールド-ミーアと賢者の石-


ミーア「お~冒険者さんだー!お久しぶりでありますぅ~」

アネモネ「うむ、久しいな。随分と楽しそうな様子だが、良いことでもあったのか?」
ミーア「うふふ♪分かっちゃいますかぁ?実はですねー、ミーアの夢がつい先日とうとう叶ったのですよー。にしし!いつもお世話になってる冒険者さんには特別に招待券を渡しておきます
ね」

エリザ「まあ、ありがとうございます。ですけど、なんの招待券ですの?」
ミーア「ふ~んふ~ん♪きっとびっくりするだろうな~。『レシマス』でまたお会いしましょう!待ってますよぉ♪」
そう言うと、ミーアはいつもの唄を口ずさみながら去っていった。


エリザ「レシマス?夢が叶った?どういうことなのかしら…」

アネモネ「ふーむ?そういえば、ルル…ウィルルがおかしなことがあったら、報告して欲しいと言っておったな」

ドラクル「ご友人が大変危険なアーティファクト…《賢者の石》を落としたから探してほしいという話でしたね」

アネモネ「うむ。我としては何があるのか興味深いが。依頼を受けた以上、先にウィルルのもとへ向かうとするか」

 


アネモネからの報告を受け、ウィルルはヴェルニース南西———…ノースティリス最大の迷宮レシマスの入り口に足を運んでいた。彼女は内心の苦悩を隠す事なく、疲れきった表情でため息を吐く。

ウィルル「不味い…不味いわ。よりにもよって、あんな危険なアーティファクトを地上に紛失するなんて…」
ことの元凶の気ままな猫そのもの女神の顔が思い浮かび。まあ仕方ないという諦めた感情も込めて、彼女はもう一度ため息を吐いた。

ウィルル「ただでさえこの時世、衝動的な行動に身に任せる人間が後を絶たないというのに。アレがもしも…例えば、野心抱くイェルスの幼女王や血の気の多いジューアの手にでも渡ってしまったら………。ふぅ、想像を巡らせたところで詮無いことか…」
そう言いつつ、先ほどから独り言を呟きつづけるほど。不安なことばかり考えてしまっている。

ウィルル「それにしてもアイツに言われてこんな所まで来てしまったけれど、ネフィアに棲む魔物たちにあの神器を悪用できる知恵があるとは思えないわね。残念だけれど流石に今回は外れ——————…」



ウィルル「………」 しばし思考停止した。「………は?」

 



エリザ「ここって、レシマスですわよね…?」
かつて吸血鬼たちが探索した筈の広大なネフィアの内層は、今や珍妙な歓楽街へと変貌を遂げ、立ち並ぶ露店と見物客で賑わっている。ミーアのミラクルワンダーランド———…そう刻まれた看板を手に園内を闊歩するのは、ヒトとも魔物ともつかない不思議なマスコットたちだ。

ジル「へーんな着ぐるみですねー」
いぬのようなもの「くんか!くんか!スーハースーハー…なんだ男じゃないか」 少年に向かって、激しく息を吸いはじめたへんなものはガッカリした様子で離れた。

ジル「はわーーーっ!?」
いぬのようなもの「あ、そうそう。僕たちはミーア様によって造られたホムンクルス。ミーア様は神界の秘宝を手に入れたことで世界一の魔法使いになったんだ」

ジル「…だから、なんですか?しつけがなってない家畜なら仕置きをやりましょう」 *バチバチ* 少年が握る杖の先に集まる雷の力。
いぬのようなもの「え?さっきのは軽い挨拶みたいもので…まってまって!パンティーをあげぎゃああああああああああああっ!!」 へんなものは焦げカスのミンチになった。

アネモネ「ウィルルが探しているものはミーアが所持しているようだな。…それにしても、なかなか充実した商品であるな」 吸血鬼はしげしげと棚に並べられた種類豊富なパンティーを眺めた。

エリザ「あ・な・た」

アネモネ「ひぇ…!は、ははははっ。彼女と合流しようではないか。行くぞ、下僕共よ」


可憐な女性「あ、アネモネお姉ちゃん。なんだか…私、急に大きくなったちゃったみたい…。成長期なのかな?」

アネモネ「美しいお嬢さん。どこかでお会いした…グウェンなのか?」
グウェン「うん、そうだよ。ヴェルニースにお買い物へ向かっていたんだけど、皆が大騒ぎしているから気になって少し覗きにきたの。そしたら、タムさんがここの偉い人を怒らせちゃったみたいで…。騒動の爆発に巻き込まれたと思ったら、この姿になっていたの。タムさん、大丈夫かな…。私もこのまま帰ったらお父さんびっくりさせちゃうし…。困ったな…」

アネモネ(風の女神がひどく焦っていたのはこういうことか。ホムンクルスといい、とんでもない力であるな)
グウェン「あとね。この姿になってから、なんだか胸がきついんだ…。お姉ちゃん、どうしたらいいかな?」

アネモネ「…安心せよ。そなたにぴったりなブラ…ぬわっ!?えりひゃ、いたたたたたっ!」 少女の細い指によって、吸血鬼の頬がもちのように伸びた。

エリザ「私たちはグウェンちゃんがそうなった原因を解決しに来ましたの。もしかしたら元に戻るかもしれませんわ。ですから、不安でしょうけど。待っていてくださいね」
グウェン「うん。わかったよ、エリザお姉ちゃん!」

 



ウィルル「オマエも来ていたのね、アネモネ。…いい、皆まで言わなくて良いわ。とにかく、こんな訳の分からない事をしでかした諜報人を捕まえて、この事態に出来る限り早くの収拾をつけなければ…」

アネモネ「麗しい顔が曇っておるな。我らがその憂いを晴らしてやろう」

ウィルル「…本気で言っているの?前にも話したけれど、これはオマエが考えている以上の大事なのよ」

アネモネ「冒険者というのは好奇心で生きているのでな。関わった以上、最後まで付き合うぞ」

ウィルル「…分かったわ。確かに今のこの身体では戦闘が心許ないのも事実だしね。ここは借りておくわよ、アネモネ」

 


わたしの考えた最強のモンスター「ごきげんよう。私は当テーマパークのマスコット、ハンプティダンブティ。どうです、ミラクルワンダーランドは。楽しめて頂けますかな」 目の前の奇妙な生き物はそうしゃべりだした。

ウィルル「ああ…もう、なんなのこれは…。頭が痛くなってきたわ」
わたしの考えた最強のモンスター「なんというクレーマー。しかし、私は愛らしいマスコット、こんな事で腹を立てたりしないのです」

アネモネ「ミーアの居場所を知ってるか?案内せよ」(割ったら、何が出てくるのであろう?…割りたい)
わたしの考えた最強のモンスター「ミーア様のお知り合いの方ですか?残念ながらここからは関係者以外立ち入り禁止です。アポイントメントの予約もありませんし、また後日お問い合わせの上、お越し下さい」

ウィルル「この私に大人しく帰れ、と?ナメた口をきくわね。いいから通しなさい」
わたしの考えた最強のモンスター「そんなにミーア様に会いたくば私を倒していくことです!最強のホムンクルスである私に逆らったことを後悔す…ほひいいいいいいいいっ!!」 突如として吹き荒れた風によって、卵のような生き物は回転しながら空の彼方へ飛んでいった。

ウィルル「さあ行くわよ。付いてきなさい、アネモネ」


ミーア「おー。えりんぎまいたけぶなしめじぃ~♪」 即座に呑気に歌っている姿が思い浮かび。あの娘の真意を推し量ることが徒労だと気づいた吸血鬼は思考を切り、小さく首を振った。


アネモネ「叶えられている内容はふざけたものだが…ここまで出来るとは凄まじいものであるな」

ドラクル「そうでございますね。もし、お嬢様が拾っていたなら、どんな願いことをしたいですか?」

エリザ(美女ハーレムとか言い出しそうですわ…)

アネモネ「願いをする気はないな。我が知る賢者の石の伝承とはだいぶ異なっている…先にどのようなものか、研究したいのである」

エリザ「…っ!?美女じゃないですって…!」

アネモネ「エリザは美女を願うのか…?」

エリザ「ち、違いますわーーーっ!!」

ウィルル「…」 そんな吸血鬼たちの会話に賢者は微笑ましそうに目を細め…



ウィルル「…!?」
ミーア「本日はミラクルワンダーランドの開園を記念してお客様にお菓子をお配りしておりまーす。空の上からしつれいしますねぇ」
能天気な声が聞こえた方角に視線を向ければ、背中から純白の翼を生やしたミーアが、羽ばたきながら飴玉をパーク内にばらまいている。敷地をひとしきり旋回した後、彼女は巨大なモニュメントが置かれた中庭の向こうへと消え去った。

ウィルル「あの娘…賢者の石の危険性に気づいていないようね。こんな無茶な使い方をしたら、どんな結果になるかは火を見るより明らかだというのに…。ふん捕まえて、たっぷりお灸を据えてあげないとね」

 

~ネコの御殿~

ミーア「うみみゃ?」 カオスな空間を進んでやっと見つけた天然娘は、自分を睨んでいる賢者にキョトンと不思議そうに首を傾げている。

ウィルル「言いたいことがオパートスのように高々とあるけど…。オマエ、今すぐに賢者の石の使用を止めなさい。あれは人間の手には余る代物よ」
ミーア「やや!誰ですか、この高飛車なおねいさんは!いやですっ、あの石はミーアが拾ったものなんですっ。念願の『パルミア猫の国計画』がようやく実行に移せそうなのに、こんなところで諦めるわけにはいきません!」

ウィルル「…。いい?これはアナタのために言っているのよ。ここまで大規模の願い、あの神器の容量限界を軽く越えてしまっている。今は蓄積された魔力がいつ暴走を起こしてもおかしくない、危険な状態なの」
ミーア「う、うぅぅ…き、聞こえないもん!あっかんべーだ!」 舌を出して、指で右目の下まぶたを引き下げたポーズをするミーア。あまりな行動にウィルルの額に青筋が浮かんだ。

ウィルル「ほお…。せっかく忠告してあげてるのに、この私に口答えとは良い度胸ね。よほど折檻がお望みなのかしら?」

アネモネ(おお、なかなかにゾクゾクするな…ヴェントが信仰する気持ちがわからんでもないな)
ミーア「す、凄んだってダメなんですからっ。…それじゃあこうしましょう!これから私とあなたが勝負をして、そちらが勝ったら私は大人しく引っ込みます。その代わり私が勝ったら、おねえいさんにはネコ耳とネコのシッポをつけて、一生ここの売り子として働いてもらいますから、そのつもりで!」

ウィルル「………………………………は?」



アネモネ(愛らしいな)

エリザ(ネコ耳…ちょっとだけ付けてみたいですわね)

ウィルル「————ふ、ふざけないで…!ちょっと想像しちゃったじゃない!誰がそんなこと…!」
ミーア「女なら二言はなし、です!さぁ~いっきますよ~!」
勝手に決定した天然娘が襲いかかってきた———!

 


杖を取り落とすその音が、勝負の終わりを告げる合図だった。魔力切れを起こして涙目でへたり込むミーアを見下ろし、ウィルルは肩で息をしている。大出力の魔術の応酬が繰り広げられた中庭は地形が変わり、壁は溶けだし、すでに元の原型を留めていない。

ウィルル(…危なかった…。化身として力が制限されているとはいえ、まさか私が正面からの魔術戦で押されるなんて…)「はぁ…はぁ…。随分と好き勝手やってくれたわね…。だけど、これで格の違いが分かったでしょう。人間が私に楯突こうなんて9999999年早いの…。さあ、約束よ。賢者の石をこちらに渡しなさい。これだけ暴れれば、もう気は済んだでしょう」
ミーア「そ、それがそのぅ…。渡したいのは山々なんですけどぉ…」
そう言ってミーアが差し出した手のひら大の水晶は、表面が幾重にもひび割れ、深紅の明滅を絶え間なく繰り返していた。本来こういう造形なのだろうか…。確認を込めた視線を送るが、ウィルルは青ざめた顔で首を振る。

ウィルル「…内在マナがすでに溢れかけている。下手に刺激すればこの場で爆発を起こしかねないわ」
ミーア「あの、あの…。途中からおかしいって気づいてはいたんだけど、勝負の途中だったから、言い出せなくて…」

ウィルル「…そういう大事な事は、包み隠さず教えて欲しかったわね」
険しい表情で紫電を走らせる水晶を見据えながら、ウィルルは構えた弓に矢尻をつがえた。

ウィルル「…逃げなさい。一か罰か、賢者の石の核を撃ち抜くわ。魔力を膨張放散させる前に、あの神器を完全に破壊するの」
ミーア「で、でもぉ…」

ウィルル「いいから…!もう爆発までそう間はないわよっ。アナタは敷地内に居る観客たちを出来るだけ遠くへ誘導しなさい!」
ミーア「は、はいぃぃっ」

ウィルル(全く…冗談じゃないわ)



ウィルル(…。まぁ、仕方ないか。貧乏くじくらい、引いてあげるわよ。出来の悪い子供を持つ親の心境も、きっとこんな感じなのでしょうね…)「ヒトを守るのは神様だって…いつだって相場が決まっているもの」

アネモネ「そなたは変わっているな…」

ウィルル「!?…オマエ…。まだ此処を離れてなかったの?何を考えて…」

アネモネ「忘れたか?我らはそなたに協力すると約束した。それだけだ」

ウィルル「…オマエって…ホントのホントに変わり者よね…。ああ…もうっ。分かったわよ、どうせ逃げろと言っても聞かないのでしょう?だったら、せいぜい私が魔力を練り上げるまでの露払いをなさい。…その代わりに約束するわ。この一撃だけは絶対に外さない。風の神の名に誓って、絶対に…」
そう言って、静かに詠唱を始めるウィルルの姿に、吸血鬼もまた身を引き締め、全身の神経を研ぎ澄ませる。明滅し、脈動する赤い光…。賢者の石は凶悪な爆風と魔力を、今まさに解き放たんとしていた————…



ドラクル「耐性もですけど、耐久に高いようでございますね」

アネモネ「だが、ダメージを与えられる以上。砕けるであろう。我と素晴らしき下僕共の力があればたやすいことだ!ふはははははははっ!」

ジル「そうですです!こんな石ぶっこわしてやるのですですー!」

辺りを無差別に攻撃しつづける賢者の石の魔力の波を攻撃で相殺し。賢者を守る吸血鬼たち。亀裂が広がるたびに激しさが増していき、傷ついて倒れる者もいた。だが、ウィルルは最後まで彼らを信じて詠唱し。完成した力を放った———!


ドラクルは《賢者の石》を射撃し 破壊した。 *幻想的な光を解き放ち、賢者の石は砕け散った…*

ドラクル「ふふっ。今日はいつもより速く動けますね。まるで、すぐ傍でルルウィの加護を受けているような…そんな感覚でございますな」

ウィルル「め、女神の気まぐれでしょう」

アネモネ「はははははっ。そうであるな~」

 

 


反省したミーアが状況をよくわかってない観客たちに謝る中。疲れ果てた様子でフラつくウィルルの身体を吸血鬼が支えると、彼女は顔をそらしながら、そう言いだした。

ウィルル「私を騙すような人間ではないことも、世界の破滅を望むような人間でないことも、確かめるまでもなく分かっていたわよ…」

アネモネ「…」 薄々気づいていた。己を監視するような目で見ていたことに。

ウィルル「オマエが悪魔みたいに酷い人間であってくれたら良かった…。その方がずっと気が楽だった。だけど、こんな風に命まで懸けて助けられたら…。もうオマエを信じない訳にはいかないじゃない」
柔らかな笑みを浮かべる顔が赤いのは夕暮れの光のせいなのか、それとも…

ウィルル「…きっと、私が何を言っているのか分からないのでしょうね。別にいいわ。もう決めたから…。今この瞬間から、私はオマエの味方よ。これから何があっても…。例えオマエが、世界全てを敵に回す事になったとしても、私だけは必ず力を貸してあげる。…必ずオマエを守ってあげる」

アネモネ「…それは嬉しいであるな」

ウィルル「だから、やれるところまでやってみなさい。オマエ自身の意思で、この箱庭の未来を切り開くの。そして、最後の決断の時に…。もう一度私の言葉を思い出して————…」
囁くようにそう告げて、ウィルルは吸血鬼に肩を預けながら目を閉じた。まばゆい斜陽が遠い地平を一本の線条に映し出す。程なくして耳元に聞こえてきた静かな寝息に、吸血鬼もまた緊張の糸を解き、ゆっくりとその場に腰を下ろした。

アネモネ「はははっ。しばらく動けなそうだな。愛らしい寝顔を眺めるのも悪くない。下僕共よ、好きのように休むといい」

エリザ「それじゃあ…私、ここで休憩しますわね」

ジル「僕も僕もー。マスターのお傍でゆっくりするのですですー!」

ドラクル「それでは、私は紅茶と菓子を用意してきますね」

アネモネ「…ふふふっ」(…女神が疑っていたことは何一つ間違っていないのだろう。だが、こんなにも穏やかな気持ちでいられるのは…我を変えてくれる存在がいるからであろうな)

 


これでヒロイン全員とのデートイベント1をクリアしたわけだが…ルルウィルルだけ難易度高めだね。ソロでもやろうとすれば出来ると思うが、時間かかるだろうな。