クレイモア吸血鬼の旅行記48


アネモネ「ヴェルニースも久しぶりに来ると懐かしく感じるな。せっかくだから、酒場でゆるりと紅茶を飲みながら…ぬう?」
エリザ「酒を飲まずに、持ち込んだ茶を飲んでいるなんて。お店の人に迷惑ですわよ! …あの?急に立ち止まってどうしましたの?」
アネモネ「尻がおらぬっ!?」
エリザ「なな、なんてことを叫んでいますの!?」

 


アネモネ「そこの貴様!し、シーナを知らぬか?」
虚空を這いずる者「…彼女なら。最近、墓場で見かけるよ」
アネモネ「礼を言う。これで… ぬ?」(こやつは《常闇の眼》の歴史に載っていた男か)
虚空を這いずる者「…あなたとは…どこかであったか?すまないが、放っておいてくれ」
アネモネ「…」(我は一方的に知ってるだけだ。本来、知るべきではないことを)「いや、人違いだ。気にするな」

 


アネモネ「おお、見つけたぞ。これでシーナの尻を眺めながら、茶を飲めるのである」
エリザ「やけに熱心に探していると思っていたら、そんな理由でしたの…!」
アネモネ「いたっ!?ちょっとエリザやめ…いひゃあいっ!!」(細い指に引っ張られて、幼女の白い頬はもちのように伸びたように見える)

シーナ「ーーーー…?」

アネモネ「久しいな。酒場にそなたがいなくて、心配になってな。探したのである。なぜ、ここに?」
エリザ「…」
アネモネ(後ろからエリザの冷たい視線を感じるのである…)
シーナ「え?ああ…ここへは今日、お墓参りに来ていたんです。こんな町はずれの墓を訪れる人なんて滅多に居ませんから。たまに私がこうして手入れしてるの」
アネモネ「ほう。このような美人にお世話されるとは羨ましいであるな」
シーナ「…弟なんです。2年前の冬の日、崖から足を踏み外してしまって… 生意気で、私の言うことなんてちっとも聞かない子だったけど、いざ居なくなってしまうと、やっぱり寂しいものなんですね。まるで心の中に、ぽっかりと大きな穴が空いてしまったみたい…」
アネモネ「それは…辛いであるな。慰めにならないかもしれんが、我の胸で泣いていいのだぞ」
シーナ「や、やだな…そんな大袈裟な。大丈夫です。一応、自分の中で気持ちの整理は付けたつもりだから。私がいつまでも暗い顔ばかりしていたら、天国のあの子もきっとガッカリしてしまうもの」
アネモネ「そうか… 前向きは良いぞ」(ちと、残念だが)
シーナ「さぁあ、暗い話はもうお仕舞い。勿論、酒場に寄って貰えるんですよね、冒険者さん?」
アネモネ「当然である!さっそく、酒場に」
????「ポピー!ポピーがっ!!」
アネモネ「ぬ…?この声は犬好きの… ぬわっ!?燃えてるのである!?」


リリアン「はなして…!はなしてよぅ!家の中にはまだポピーが…。ポピーが取り残されているのっ!あの子、きっと独りで恐がっている…。早く言って助けてあげなくちゃ…」
犬好きの少女は友達を助けようと必死に叫ぶが、周りの人々はここまで燃え広がった中に戻るなんて危険だ。もうポピーは助からないだろうと。彼女の行く手を阻んでいた。
アネモネ「まだわからぬだろう。我が行ってやる」


リリアン「どうして冒険者さんがここに…。”ポピーを連れてくる”って…だ、だめだよ、そんなこと…!元はと言えば私がーーーー…あ!冒険者さん!」
炎のように赤いマントを優雅に翻し。一瞬で、壁となっている人々の間をすり抜けて。階段の前に吸血鬼は立っていた。
アネモネ「下僕共、消火を手伝ってやれ。子犬を連れて行くことなど、我だけで充分だ」
ドラクル「はい。紅茶を用意して、お待ちします。お嬢様」
ジル「こんな火、すぐ消してやるのですです!」
エリザ「…死んだらタダのかっこつけのバカですわ。無事に戻ってきてちょうだい」
アネモネ「ふははははははっ!我は最強無敵の超絶美形吸血鬼!!この程度の炎で灰にならぬわ!何も不安に思うな。我の帰りを待て」


アネモネ「むう?炎に属するモンスターがおるな。火に引き寄せられたのか、出火原因なのか…? まあ、よい。まずは子犬を見つけないとな」


アネモネ「レッドドラゴンまでおるとは…」
レッドドラゴンは炎のブレスを吐いた あなたは燃えた。あなたは燃えた。あなたは燃えた。
アネモネ「ぬわあああああぁぁぁぁぁああっ!!アッツイであるううううううぅぅぅうっ!!」「ぬわあああああぁぁぁぁぁああっ!!アッツイであるううううううぅぅぅうっ!!」「ぬわあああああぁぁぁぁぁああっ!!アッツイであるううううううぅぅぅうっ!!」
レッドドラゴン「!?」

 

燃えた時のセリフを設定していたが… そういえば、ウオオォ!あっちぃいいいいいいっ!!を意識してたな。笑ってしまったぞ。


ポピー「くぅん…」
アネモネ「やっと見つけたぞ。暑苦しいのは我の趣味ではない。早々に脱出するぞ」
ポピー「きゃん!きゃん!」
抱き上げようとしたが、子犬は何かに怯えるように慌ただしく吠えた。炎の渦へと、急速のマナが収束していく気配を感じた。


イフリート「火を敬わぬ人間に裁きを…」
アネモネ「貴様が火事の原因か。何が精霊の怒りだ!愚か者めっ!!」


炎霊『イフリート』を射撃し 殺した。「ぬう…このワシが…」
アネモネ「つまらん… この前、相手した幽霊の方が手強かったわ。プライドではどうにもならんと知れ」
イフリート「ワシは…ワシは… やばいと思ったが、欲望を抑えきられなかった…」
アネモネ「貴様、なにを言って…?」
その時、ひらりと小さな布らしいものが吸血鬼の足元に落ちてきた。よく見ると可愛い子イヌの刺繍がされたパンティであった。
アネモネ「……わかるぞ。すこーしだけな。今度、そういった店を紹介してやる。これは我が預かっておくのである」
吸血鬼はちょっとドキドキした様子で、懐にしまった。

 

 

 


リリアン「何かお礼になるもの…そうだ!ポピーがこの間、見つけてきてくれた不思議な石。私の宝物なんだ。良かったら冒険者さんに持っていてほしいな」
はにかんだ笑顔を浮かべながら、犬好きの少女は浮遊する蒼い石を吸血鬼に手渡した。
アネモネ「おお、これは古代の… いや、美しいであるな。これも大事にするぞ」
リリアン(これも?)

 


ドラクル「お帰りなさいませ。お嬢様。随分と嬉しそうな様子ですね」
アネモネ「ふふふふふふふ~♪ 少女の笑顔というのは元気になるものであるな~♪」
エリザ「どこか挙動不審に見えるのですけど、なにか隠してません?」
アネモネ「ははははっ。いつもどおりの我であるよ。なにが?どこが?おかしいと思うのである?」
エリザ「”勘”ですわ。ちょっと失礼しますわよ」
アネモネ「ぬわっ!?急にそんなところに手を入れ…ふふ、ふはははははっ!くすぐったいのである!」
エリザ「なにも… 無いですわね。気のせい…?」
アネモネ「ふふっ…それで、いつまで我の身体を触っているのだ?エリザ」
エリザ「…っ! ご、ごめんなさいですわ!」
恥ずかしそうに顔を赤く染めて離れる少女。その様子をにやにやしながら吸血鬼は心の中でホッとしていた。
アネモネ(助かったぞ… ドラクル)
片眼鏡の老紳士を見つめると、それに答えるように彼はにこやかな表情を浮かべた。