クレイモア吸血鬼の旅行記104 ノヴィスワールド-虚構の魔女 後編-

elonaプレイ日記踊れ月光『アネモネ』



アネモネ「まずは愛らしい沼地の精たちがお相手か!ははははははははっ!」

エリザ「どこが愛らしいですの…」
沼地の精たちは魔女の殺意に呼応するように、可憐な妖精の姿を脱ぎ捨てていく。透明な羽は蝙蝠の翼に生え変わり。小さな手はカマキリのような鎌に変じ。光輝く皮膚は裂け、昆虫のような甲羅が身体を覆う。

ジル「僕はこっちの方が好ましいですね。強そうで」

エリザ「これから私たちはその”強そう”な相手をすることになりますけど…」

マリー「…きっと大丈夫さ。アネモネは準備は終わったと言っていたからな」

エリザ「どういうことですの?まるで”こうなる”のがわかっていたみたいですわ」

ドラクル「お嬢様は魔女のことについて調べていました。きっと今の状況を想定していたのでしょう」

アネモネ「そうだ。気軽に会うには死を覚悟せよ、とな」

エリザ「あなた…そういうことは私たちに事前に警告してくださる…?後で、頬をめいっぱい引っぱってやりますわ…!」

アネモネ「ひぇ…!?と、とにかく。我には作戦がある!下僕共よ、安心せよ」

エリザ「作戦?」


*ブシュ* エリザは【沼地の精】の首をちょんぎり 殺した。「ギキィッ!!」異形の精は分裂した。

エリザ「なんですのこれ…?もしかして、キリがない…?」

アネモネ「ふむ、予想通りだな。沼地の精は魔女に作られた存在だ。本体を倒さなければ、無限に出てくるのであろう」

エリザ「何が、ふむ。ですのっ!?なんか壁生成していますけど…本当に大丈夫ですの??」

アネモネ「順調であるぞ!後少しで終わる…」
吸血鬼はまだ空いている壁の隙間に魔力を込め、壁生成する。すると完全に入り口も扉もない密閉された空間が作られた。

アネモネ「さて、愛らしい妖精たちよ。ここで戯れているがよい」 アネモネはにやりと笑い。テレポートの呪文を唱えた。



アネモネ「あやつらは鋭い刃を持っておるが、壁を破壊する能力は持たぬようだ。閉じ込めてしまえば、我らの勝利である」

エリザ「永遠と戦わなければいけないと思って…怖かったですわよ」

アネモネ「ふふ。皆、よく耐えてくれた。だが、気を緩めるな。まだまだ腕ならしであるぞ」

ジル「あのでっかい魔女をミンチミンチィですね!」

ドラクル「今まで無かった強敵でございますな。お嬢様のために、全力を尽くしましょう」

エリザ「…正直、彼女に攻撃するのは…複雑ですわね…」

アネモネ「なら、ほっとくか?このまま暴走した魔力によって、まずルミエスト湖が毒の湖になるだろうな」

エリザ「わかっていますわよ。もう…意地悪を言わないでくださる」

マリー「…」

アネモネ「なんだ。マリーも複雑な心境か?」

マリー「…いや、エリンさんのことは覚悟したよ」

アネモネ「…。なら、よい。そろそろ休憩は終わりだ。行くぞ」

 

沼地の精への対処はこれが正解だろう。無限湧き&壁破壊できる品質ではない。ということは。


その姿に誰も華奢な少女だったと思わないだろう。山のような巨体は剥き出しの肉塊のように赤黒く。ねじれた造形は、なんと形容すればいいのかわからないほど歪だ。

アネモネ「そなたは人間でありたかったのであろう…。今は聞く耳を持たぬようだが」
離れた場所から、この状況を見ているクイナの悲痛な視線を感じる。また話せるだろうか…。人間だの魔女だの神など関係なく、ただのエリンとクイナとして。

アネモネ「…ふ。美人のお願いは叶えるものだ」
吸血鬼はそう呟き。”準備していたもの”を取り出した。



アネモネ「ふはははははっ!我が研究の成果だ!」

マリー「それは…お前が地道に買い集めて、黙々と地下室で調合していた奴か」

アネモネ「地味な作業について触れるな…」

マリー「良いじゃないか。お前のそういう地味な作業があってこそ、私は助けられているんだ」

ドラクル「そうでございますね。お嬢様のたゆまぬ努力があってこそ、今の私がいるのです」

ジル「僕も!マスターが愛情を込めて育ててくれたこそ、僕は強くなれたのですです!」

アネモネ「そなたたち…」 感動した吸血鬼は思わず、全員を抱きしめたくなった。

エリザ「あなたたち、そんなことしている場合…!?」

アネモネ「よし、愛でるのは戦いが終わった後だ。楽しみにせよ!」
吸血鬼の言葉にPTの士気が上がった!*鼓舞*



アネモネ「ふはーはははっ!失耐性ポーション+64によって、ここまで下がったぞ!ターン数もとんでもないぞ!」

エリザ「2回も外していましたけどね…私に当たりそうでしたわ」

アネモネ「ふふ…それは本当にすまなかった」

エリザ「素直でよろしい。あまり外さないでちょうだいね」

アネモネ「ふ…そうそう外さんよ」

 


白き癒し手エリスのポーションを投げた。それは地面に落ちて砕けた。

アネモネ「なっ!?」
回復魔法を使える者は皆、沈黙状態になっていた。生命の杖を使用しようにも距離は遠く。アネモネは咄嗟に白き癒し手エリスのポーションを投げたのだが…外れた。

アネモネ「つ、次だ!次こそは当たる!マリー、すぐに回復してやるぞ!」 吸血鬼は諦めずに2回目の投擲をしたが…また外れ、瓶は無情にも粉々になった。

マリー「うわああああああああああった!?」
マリーは《虚ろなるエリン》に腐った手で殴られた。 マリーは殺された。

アネモネ「…2度あることは3度目もある。か」

エリザ「…」

アネモネ「はは…今度、投擲スキルを上げることを考慮しておこう…。さて、手持ちから復活の書を発動!目覚めよマリー!」

マリー「……真っ先に倒れてしまうとは。すまない」

アネモネ「気にしないでくれ。我が心苦しい…。それに、これも想定内だ。死者の書は15冊…今は14冊か。いくらでも復活させる準備もしておるよ」

マリー「それでも貴重品だろ。なるべくミンチにならないように努力する…!」

アネモネ「ふん。何回ミンチになったか。数えてやる」(…他のデバフポーションも投げてみたが、失耐性ほどの効果は無いみたいだな?……あまりドーピング的な行為はしたくなかったが。使うか)

 

命中すれば効果は絶大なんだが、やはりポーションはこういうデメリットがあるな。ここまで外すとは…。


加速のポーション+32を飲み干した。吸血鬼は機敏になった。速度300900

アネモネ「ふははははははははっ!我の速さについていけるか!」

エリザ「すごいじゃないですの!さあ、私たちにも渡してちょうだい!」

アネモネ「やらぬぞ」

エリザ「は?」

アネモネ「エリザ…そのような恐ろしい気迫を出すな。我の速度を上げたのは、我が標的にされた時にあっという間にミンチにされぬためだ。それに、エリンの苛烈な攻撃がある中。そなたたちに加速のポーションを配る余裕がないのだ」

マリー「…先ほど一息入れた時に私たちに渡せば良かったんじゃないか?」

アネモネ「そなたたちは素晴らしく育っておる。なんとかなるであろう!」

エリザ「あなたって、やっぱ抜けてる阿呆ですわよ…」

 

そうする手もあったんだけど、まあ力試しをしたい欲が勝ってね…。


《虚ろなるエリン》の猛攻撃に耐えながら、じわじわと強固な殻にダメージを追わせていく一行。だが、

アネモネ「ぬわっ!?」
吸血鬼は酔っ払った。吸血鬼は嫌な感じがした。吸血鬼は吐いた。”餓死中

アネモネ(……まさか餓死の心配をすることになるとは…!)
食料はある。だが、この状況下で食事で数ターン経過させるのは悪手だ。吸血鬼はポーションで少しは腹が膨れることを思い出し。何本か回復ポーションを飲むが…まったく満たされる気配は無く。餓死中のままだ。

アネモネ(ああ、今すぐ食事をしたい…)
周りに漂う血の匂いに意識が向いていく。渇いた喉を潤し。飢えを満たす”食べ物”。皮膚の下で脈動する熱き血潮。刹那、青い目と目が合う。吸血鬼は冷水を浴びたように頭が冷えた。

アネモネ(…何を今更……)
マリーを美味しそうと思っていたなんて、最初からだ。なぜ、こんなにもショックを受けているのか…

マリー「アネモネ、顔色が悪いぞ。大丈夫か?」

アネモネ「…我は至って冷静であるぞ。餓死中になるなど、餓鬼に囲まれてハーブを大量に食べる時によくやることだ」

マリー「大ごとじゃないか!?」

アネモネ「回復ポーションはまだまだある。気をつけておれば大丈夫だ。エリンは思っていたより、攻撃力は高くはない。このまま態勢を崩さずに続ければ…勝てるはずだ」

 

戦いは長く、長く続いた。深く傷つき、何度か倒れた者もいた。それでも、吸血鬼の諦めない意思に応えるように下僕共は、友は、立ち上がり。死力を尽くして、エリンが作り出した悪夢を破壊していく。…墓前の少女クイナはずっとその光景を遠くから目を逸らさず見つめていた。何もできないけれど、あのひとたちを信じる。そんな祈りを込めて。

*ブシュ* エリザは《虚ろなるエリン》の首をちょんぎり 殺した。「…ワタシが…崩れていく…崩、レテ…」

エリザ「エリンさん…」
少女は揺れる瞳で、轟音とともに崩壊していく巨体を見つめる。固唾を飲む中、白い衣を纏った少女…エリンの身体が眩しい光の中から現れ、力無く地面に倒れた。

エリザ「…良かった。まだ息がありますわ…でも」
急いで回復魔法で傷を癒したが、エリンの顔色は死人のように白く。微かに聞こえる呼吸は、今にも命が消えそうなほど弱々しい。魔女の力を暴走させたことによって、己の命まで削ってしまったのか…。

アネモネ「…行くぞ。ここからはクイナに任せるべきだ」

エリザ「そう、ですわね…」

 

エリン(ここは何処だろう…。全部真っ白で…何も見えない…)
意識を眩い光に包まれながら、エリンはぼんやりとそんなことを考えていた…。ずっと霧の中を歩いていた気がする…。深く、暗い霧の中を…。全身から力が抜けていく。それに…ひどく寒い…。身震いして身体を縮こませたエリンは、不意に衣擦れの音を聞いた気がして、うっすらと両の瞼を開けた。

思わず、唇に馴染んだその名前を呟いた。そこに在ったのは、あれほど会いたいと願っていた親友の横顔。朝焼けに染まる透き通った髪…。少女の瞳からは、とめどなく涙が溢れ出していた。どうしてクイナは泣いているんだろう。彼女にこんな顔、させたくなかった。彼女のことが大切だった。自分にとって、居場所と呼べるのは彼女と過ごすあの遊び場だけだったから。
エリン「…ねえ、クイナ…」
クイナ「ん…なぁに…?」
エリン「どこか…痛いの…?」
よく見れば、彼女は傷だらけだった。そんなの当たり前だ。斬られた傷は…とても、痛いものだから…。
クイナ「こ、れは…」
エリン「ごめんね」
クイナ「え?」
エリン「私があなたを傷つけてしまったのね。だから、ごめんなさい…」
何故だか、彼女にはきちんと謝っておかなければいけない気がした。本当は全部知っていたんだ…。この子は私を迎えに来てくれた。虚構に包まれた死の沼地で…たった独りで震える私を…。
エリン「ふふ…あった、かい…。クイナ…あなたは、私のこと、こわくない?私のこと、嫌いにならないでくれる…?」
クイナ「…怖くない…っ…嫌いになんて、ならないよ…っ…だって、あなたは私のたった1人の友達だもの…っ」
エリン(ああ…。…そう、か…もっと素直に彼女の言葉を受け入れていれば、きっと私は…)「そっか…。こわくない、かぁ…。じゃあ、じゃあね…クイナは…寂しくない…?」
クイナ「エリン…」
エリン「私は寂しかった…。ずっと、寂しかったよ…」
祈りにも似た哀しい独白。…それきり、彼女が目を開くことは2度となかった。—————か細い嗚咽が、死に絶えた聖域に木霊する。虫の歌声と、水のさざめきが空に響く…。しじまに響く緑の声…。それはどこか、霧の向こうに消えた少女の死を悼む鎮魂歌のように思えた—————…

 


クイナ「私はこれからもこの場所で、花を供え続けます…。私まで居なくなったら、きっとエリンは寂しがるから…」

アネモネ「そうか…。たまに遊びに来るぞ。そなたのような美しいお嬢さんをほっとくなど、阿呆だからな」
クイナ「ありがとうございます…。アネモネさん、エリンの最後を看取ってくれたあなたにお願いがあります。どうか…あの子のことを忘れないであげて…。山間の小さな村に、エリンという名の1人の女の子がいたことを…時々でいいから思い出してあげてください」

アネモネ「約束しよう。我も、下僕共も、我が友も、そして我が旅行記にも…永遠に記憶すると」

 


15分…長く苦しい戦いだった。個人的に1番嫌な攻撃はポーション投げでした。開始時うっかり空腹だったが、満腹状態でも呪い酒で吐き続けて餓死中になってしまうよ。沈黙もきついところだが、ミンチになればリセットされるからな。復活の書があれば、立て直しが出来る。
エリンは他の魔女より攻撃力は低い印象かな?ある程度のステータスと耐性が整っていれば、魔女の中で攻略しやすいと思います。他の魔女はホント…物理的殺意が高い。全員生命力10だから余計きつい。でもまあ、頑張ればいけそうかなぁ…と思うので、頑張ろう。
改めて、明けましておめでとうございます。魔女戦に挑むようになり、ノヴィスワールドでの旅も大分佳境になります。アネモネの旅は今年中には終わるかもしれないし。更新によってまだ続くかもしれない。一応、イルヴァの神々殺しも目標にあるからね。まだまだ来年まで続くかもしれない?そんな感じですが、今年もよろしくお願いします。

 



マリー「…あ」

アネモネ「休め、と言ったのだが?そなたの部屋があるのは2階だぞ。さあ、ガーンナがふっかふかにベッドメイクした幸せなベッドで眠るとよい」
そう言い、吸血鬼は盃をあおる。口の端についた液体は、ひどく赤い。

マリー「その…邪魔するつもりは無かったんだ。眠れなくて、少し散策をしていたんだ。すぐ戻るよ」

アネモネ「待て。…こちらに来るといい。あまり勝手に動き回られると、ガーンナの仕事が増えるからな」

マリー「寛大なお前に感謝しよう」
隣の椅子に座ったマリーはテーブルに置かれたウィスキーを手に取り、豪快に直で飲む。アネモネは文句言いたげに少し目を細めたが、気怠い気分によるめんどくささが勝ったのか、注意せず。空になった杯にラベルが無いボトルから赤い液体を注ぐ。葡萄酒のように見えるが、マリーは気付いていた。これは酒の匂いではないと。

アネモネ「…よく我の隣に座れるものだ」

マリー「私はお前たちが飲んでいるものは購入したものであると知っているからな。献血?とやらで、血を抜いて保存できる技術には驚いたが…」

アネモネ「本来は医療のために使われるものだがな。金になるなら、吸血鬼の食糧になっても良いと思う人間がいる世の中らしい」

マリー「私も困った時は髪を切って売るからな。理解できるよ」

アネモネ「その鬱陶しいほど長い髪はそんな理由だったのか?確かに天然の金髪は珍しいが…そんな癖毛を買う奴がいるとは物好きがいるものだ。ただの無精だと思っていたぞ」

マリー「私をどういう人間だと思っているんだ…」

アネモネ「生真面目な脳筋で…。だが、寝付けぬほどの悩み事があるようだな?」

マリー「…それは、まあ…その…大したことじゃない。お前が気にすることではないよ」

アネモネ「…そうか」 吸血鬼は寂しそうに呟き。そのまま、2人の間に沈黙が降りた。「……酔いのせいで、もう眠いな。我は部屋に戻るぞ」

マリー「…ああ、おやすみ」
一滴も酒を飲んでいない吸血鬼が酔うわけがないと、マリーは気付いていた。互いの間に壁があることにも。だからこそ、越えられないのだ。マリーは今のアネモネだからこそ、幸せであると思っている。だから、過去に触れることは一切しないと、頑なに口を閉ざすのだ。

アネモネ(我はマリーの本当の名前も、過去に何があったのか、知らないままだ。マリーにそうさせているのが、かつての我だ。…いつも行き止まりだ。愛も友情も。いつまでも己に怯えるのはうんざりだ…。何か、思い出す手段は無いのか…?)

 

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