聖騎士吸血鬼の伝説32 ノースポイント-きかいになるきかい-

elonaプレイ日記月明かりの祝福『アドニス』



ミア「ふええ…目の前が砂砂砂砂と砂がいっぱいです~。見ているだけでカラカラのシオシオになるのですー」

アドニス「砂漠だな。昼はひどく暑く、夜は一転して寒い。ふむ…ミアの小さい身体では影響が大きいだろう。俺の服の中に入ろうか」

ミア「ふえっ!?ド、ドニちゃんの…その、ボクはお姉さまの懐に入るから大丈夫ですー」

アドニス「そうか。じゃあ…デイビッド。俺のマントの中に入る?」(ジル兄が魔法かけているとはいえ、腐るかもしれないしな)

デイビッド「ククク…大胆なお誘いでやすね」

ルシアン「坊ちゃん、俺は?」

アドニス「ルシアンは平気だろう」

ルシアン「ええ~。俺、メンタルか弱いんだぜ。そんなことを言われた日には、寂しくて寂しくて12時間しか寝れねえよ」

アドニス「爆睡じゃないか」



ルシアン「ここは軍事基地の跡らしいぞ。ゼイレンの遺物が眠っているとか…あ、ゼイレンというのは7紀エイス・テールに存在していた秘密機関の名前だぜ」

デイビッド「秘密…非人道的な、ミンチよりひでえことが出来る兵器が…?」

アドニス「いや、すべてに終焉をもたらす伝説の烏が乗った機体とか」

ルシアン「あるいは忘れられた神の肉体を兵器にし。事故によって人間の精神が…」


ミア「…ドニちゃんたち、なーんか楽しそうですね?」

ベアトリクス「うん。そうだね」

 

そんな他愛もない会話をしつつ、少年たちはネフィアの最奥を目指して進み。辿り着く。古代兵器が眠る場所に。


ミア「アレがゼイレンの兵器~…?見覚えがある姿なんですけど」

アドニス「ああ。ただのブレイドΩだな。多分、もっと奥の方に居るのだろう」



ルシアン「行き止まりぃ?と思うにはぶっ壊せと言わんばかりのおかしな色の壁があるな」

アドニス「じゃあ、採掘するぞ。皆、少し離れていてくれ」

ミア「掘ーれ♪掘ーれ♪」


壁を掘り終えた。妹を見つけた。
お兄ちゃん

「…!?」
一行は停止した。ただただ呆然と思考が止まる…。まだ見えぬ強敵に警戒した空気の中、壁を掘ると妹が出てきたのだ。きっと誰もがそんな反応になるだろう。

ルシアン「……ハッ!呆けてる場合じゃねえ。機械兵たちが来るぞ!」



ルシアン「見たところ…またブレイドΩだらけだな。もっと奥の方にいるのか?」

アドニス「何を言っているんだ?そこにいるぞ。ゼイレンの兵器らしい奴が」

ルシアン「え?どこ?」
本気でわからないらしくルシアンは辺りを見回している。わかるようにアドニスは指差した。そこにあるのは真っ暗な空間…のように見えたが、ふと闇が動いた。いや、黒い物体が動いている。狙いを定めるように大砲が左右に回転し。分厚い機体の下で、カタカタとキャタピラが回っている。

ルシアン「お、居たっ!?…黒すぎて全然わかんなかったわ」

デイビッド「もしかしてゼイレンの兵器ってのは、影に隠れて暗躍する異国のアサシン…ニンジャーを模しているっ!?」

アドニス「なるほど、東洋の秘術を使い…」

ミア「ニンジャーってなんですか???」

ベアトリクス「関係ないと思うから気にしなくていいよ。ミアくん」

 

差し替えている床の影響で少し見えずらくなっているね。数秒ほど気付かなかった。


ゼイレン主力戦車『グラトン』は時を止めた。無慈悲に戦車は妹が存在していた場所を通過した。

アドニス(時止め…!?いや、弾の効果か?なら、ここを耐えきれば…)



アドニス「くっ…!」
グラトンが発射するたび、爆散が起こる。狭い通路に逃げ場など無く。衝撃をまともに受けてしまい、アドニスたちのHPはみるみる削られていく…!

ベアトリクス(まだ耐えられているが…このままでは。すぐ後ろにルシアンくんが居るけど、入れ替わる余裕が無い。…なら、この方法しか無いか)
自分は今どういう状態なのか把握しているベアトリクスは躊躇なく詠唱した。


ベアトリクスは混乱しながらも魔法の詠唱を試みた。ベアトリクスは奇妙な力に捻じ曲げられた。ベアトリクスは突然消えた。

ルシアン(…ベアさん?)
消える直前に微笑みを浮かべていたのは気のせいなのか。それとも後を託すというルシアンへの信頼か。

ルシアン(どっちにしろ。俺は殴るだけだ!)


1発、2発、たったそれだけの殴打で黒い装甲が呆気ないほどにひしゃげていく。恐れを感じたのか、グラトンはキャリキャリと後退していった。

ルシアン「逃がさねえよ…!」


常人なら踏みつぶされるだろうと恐怖する巨体の横を滑るように駆け抜け、後ろに回り込むルシアン。挟み撃ちにされ。撤退の道を失ったグラトンは為す術もなく、拳を喰らう…!


ルシアンはゼイレン主力戦車『グラトン』を殴って殺した。

デイビッド「流石アニキぃ!グラトンがまるでお豆腐のようでやしたぜ」

ベアトリクス「本当にルシアンくんは凄いね。私ももっと頑張ろう。混乱詠唱で変なところへ飛んじゃったし」

ルシアン「…いや、ベアさんは俺のために」

ベアトリクス「おや…ドジっ子魔法使いは可愛くないのかな?」

ルシアン「え、いや。その…可愛いと思います」

ベアトリクス「ふふっ。それは良かった」

ミア(お姉さま、攻めていますね。ボクも…)



ミア「ドーニちゃん」

デイビッド「ビクともしませんねぇ。この扉」

アドニス「奥には一体何があるんだ…気になる」

デイビッド「ボス、先ほど壁から出てきた妹をどう思いますか?」

アドニス「ぬ?…まあ、妹はどこにでも現れるんだなと驚いたな」

デイビッド「そう。どこにでも”増員”できるんですよ。妹には『心を持たぬ妹』というユニークモンスターが存在していやしてね。巨大な戦車に妹が乗っていて。波動砲というビームを発射してくるとか…。もしかしたら、ゼイレンが妹を『心を持たぬ妹』へと変化させる兵器を作り。この扉の先には…」

アドニス「…っ!」

デイビッド「なーんて。アッシの妄想ですけどね。まだ残る謎はロマンっすね~」

アドニス「はは、そうだな」


ミア「…」(なんかわけわからない話をしてて、会話に入れなかったです…)

 

今回、1番驚いたポイントは…妹ですね。あのタイミングで出てくるなんて、面白かったけど。

 

~????~
少年たちはネフィアの最奥を目指して進み…辿り着く。


ルシアン「盛大に歓迎するじゃねえか」

ミア「でっか!むっさ~いっ!もー、可愛いボクが見えなくなるじゃないですかー」

ベアトリクス「ふふっ。それは一大事だね。ミアくん」

アドニス「数は多いが、何度か戦った相手だ。油断せずにやるぞ!」

デイビッド「へーい!」

アドニス(きっと今回もルシアンがいれば…)



アドニス「…」
すべて血の海に沈んでいく。冗談を交わす賑やかな声、傍にある仲間たちの温もり…己の命も。霞む視界に映る黒い影がこちらを見て笑っている気がする。…一体、何を間違えてしまったのだろう。絶望する少年の耳に、声が響いた———

 



ルシアン「アドニス!」

アドニス「…ルシアン?」

ルシアン「すげえうなされていたぞ。通りかかったら、声が聞こえるぐらいにさ…。また嫌な夢でも見たのか?」

アドニス「ああ…まあ、そうだな。…明日ノースポイントを探索すると言っていたが、予定を変えようと思う。今の俺たちでは…失敗するんだ。すまない」

ルシアン「別に構わない。それにアドニスが謝ることなんてないだろ。力不足なら、精進するだけさ。すまないはいらないぜ」

アドニス「…俺の話をすぐ信じてくれるんだな」

ルシアン「疑うわけないだろう。坊ちゃんは素直で可愛いからな」

アドニス「可愛いは余計だ…」(ルシアンは俺の夢の話を信じてくれる…それなら)
少年はある期待を抱く。何度も繰り返し見る…父親が何者かによって殺される、恐ろしくも許しがたい悪夢。ルシアンなら、神殺しの偉業を為したこともある元冒険者である父を殺害できるほどの強大な相手を倒せるんじゃないかと。そんな希望を抱けるのだ。

アドニス(今、話してみようか…?)「ルシアン…その」

ルシアン「うん?どうしたんだ?」

アドニス「………」(本当にそれでいいのだろうか)
夢の中でルシアンがいれば大丈夫だと、そう思っていたことが思い浮かぶ。確かにルシアンは強く、皆のことをよく考える優しい人間だ。だが、それを当たり前だと思いたくない。ルシアンに任せれば良いなんて…そんな関係になりたくないのだ。…アドニス自身の意地もあるけれど。

アドニス(言ってしまったら、俺はそれに安心してしまう。別に強くならなくてもいいと)「いや、別に。おやすみって言いたかっただけだ」

ルシアン「…。ええ~。せっかくだから、一緒に寝ない~?」

アドニス「は?…って、ベッドの中に入ってくるな!変態」

ルシアン「あははは!今夜は寝かせないぜ」

アドニス「やめろ…!変なところを触るな~!」

ルシアン(……気になるけど。無理に聞くのもな)

 

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