聖騎士吸血鬼の伝説23 ノースポイント-死の連鎖-

elonaプレイ日記月明かりの祝福『アドニス』


静まり返った寝室。朝日の光が零れる窓から、小鳥のさえずりが聞こえる。プチのぬいぐるみの上でうつ伏せに転がる半妖精は、主である少年の顔をジッと見つめていた。

アドニス「…」

ミア(うひひ…ドニちゃんの寝顔かわいい~)
ルシアンにそろそろ起こすように頼まれたのだが、つい眺めてしまう。

ミア(…吸血鬼がベッドで寝てるのは変わっていますけど)
部屋の隅に置かれた棺桶をチラリと見つめ。ミアは吸血鬼について書かれた本の内容を思い出す。生まれ故郷の土が入った棺桶で眠ることによって、アンデッドである吸血鬼は真の安息を得るという。墓場で眠る死者たちのように。

ミア(確か、ドニちゃんのご両親はどちらも吸血鬼で…つまり。生まれた時から死んでる?)

アドニス「……う。……うう……ん」

ミア「…っ!?ドニちゃん!?」
穏やかな表情から一変。苦しむように眉を寄せ、呻き声を出すアドニス。ミアは慌てて起こそうと、頬をぺちぺちと叩くが…小さすぎる手はあまりにも非力であった。

アドニス「…どうして……父上……」

ミア「うう、ボクにもっと力があれば…」
涙目になり、どうすればいいのか混乱するミア。緊迫とした空気が漂う中。大きな音を立てて扉が開かれた。

ルシアン「おっはよー!なかなか来ねえから、モーニングコールをしに来たぜ~」

アドニス「ハッ…!?」

ミア「よ”か”った”~~~~~っ」
勢いよく半妖精は少年の胸元に飛びつき。泣き出した。まだ眠そうに金瞳を半眼にしている少年はされるがままだ。

ルシアン「なんだなんだ?俺もまーぜーてー」
よくわからないが、ルシアンも抱きつこうと、両手を広げて近づき…

アドニス「やめろ阿呆」

ルシアン「うーわー」
完全に覚醒した少年によって、蹴られた。



ルシアン「それで?うなされていたようだけど。この前見た妹の木でも夢に出てきたのか?」

アドニス「確かに夢に出そうな光景だったが…。いや、そんなことどうでもいいだろう。それより、朝ごはんを食べに行こう。皆、俺たちを待ってるだろう」

ルシアン「…そーだな。今日は久々にノースポイントに行く予定だしな。しっかり食おうぜ~」

ミア「はーいですー!」

 

~ノースポイント-死病の遺跡-~


デイビッド「死病の遺跡とは…名前からして不吉でやすね。アッシの悪い予感が、なんだかビンビンしてますぜ」

ベアトリクス「私も同じ感想だよ。気をつけた方がいい。病によって文明が滅びたネフィアという話だ。いまだ、病原が残っているかもね」

デイビッド「だとしたら、ド派手に消毒してやりましょう」

アドニス「消毒…?薬でも散布するのか?」

ルシアン「大体合ってるぜ。ヒャッハー消毒だぜー!と言いながら、手洗いするのも正しい用法だぞ」

アドニス「絶対嘘だろ…」


階段を降りると、そこは大部屋。身を隠せない広々とした空間に待ち構えているのはブレイドΩ、ティラノサウルス、ミノタウロスの術士だ。切り傷ダメージを持つブレイドΩから離れるアドニス。それと入れ替わるように、突進するルシアンの真っ直ぐな拳は、ブレイドΩを一発で粉砕した。

ルシアン「お次は…っと!」
柔軟に身体をひねらせ、弾けるように、反対側にいるミノタウロスの術士にも拳を叩き込み。その屈強な筋肉すらミンチにした。少しズレた眼鏡を直そうとしたが、その傾いた視界にティラノサウルスに接近されたベアトリクスの姿が映る。ただただ本能的にルシアンは駆け出し。その巨体に拳を叩きつける。大顎から泡を吹きながら、ティラノサウルスは倒れた。

デイビッド「流石アニキ!まるでスーパーヒーローみたいな動きでしたぜ」

ベアトリクス「ありがとう。もうすぐで噛みつかれるところだったよ」

ルシアン「いやいや。ベアさんの魔法でビリビリされて、けっこう弱っていたし。俺だけの活躍じゃないさ」

ミア「そうです!ボクとドニちゃんたちも銃でバンバン!魔法でババーンとしましたよ!」

ルシアン「そっかー。偉い偉い」

アドニス「すごいすごい」

ミア「むー。2人共、子供扱いしてませんかー!」

 



アドニス「あ…かぼちゃ。うっ…お腹空いた」

ルシアン「うん?坊ちゃん、かぼちゃ煮でも食べたいの?」

アドニス「違う…!そこにハロウィンナイトメアがいるんだ」

ルシアン「ん~…ここか?」
アドニスが視線を向ける先に、ルシアンは当てずっぽうに手裏剣を投げるが…見事に外れた。

アドニス「…ルシアン。すまないが、ビア投げるぞ」

ルシアン「えっ!?」


アドニスはビアを投げた。ハロウィンナイトメアに見事に命中した!ハロウィンナイトメアは濡れた。ハロウィンナイトメアの姿はあらわになった。「んまっ♪」ハロウィンナイトメアは酔っ払った。

ルシアン「うわっ!?目の前にいた!?」

ベアトリクス「見えてしまえば、後は一気にビリビリさせるだけだね!」
ボルトはハロウィンナイトメアに命中し焦げカスにした。

ベアトリクス「ふふっ。中まで真っ黒に焼けたガチガチかぼちゃの出来上がりだね」

ルシアン「かぼちゃは少し硬めにホクホクなのが良いなあ…。ところで、アドニス。なんであんなことを言ったんだ?一瞬、俺に投げつけるのかと思ったぜ」

アドニス「お前、ビア好きだろ。一応、謝っておこうかと」

ルシアン「いいよいいよ。俺が飲める分が」

アドニス「そうか、良かった。またかぼちゃが出たら、どんどんビア投げるぞ!」
そう元気よく言ったアドニスは階段を降りていき。皆も続いていく、ルシアンを残して。

ルシアン「え?いや、その…少しは残して欲しいなあ~…って、俺を置いていくな~~~っ!」

 



ルシアン「ここが最深部か…なんか肌がゾワゾワするなぁ」

アドニス「…。左は駄目だ。右から行くぞ」

ルシアン「…?」
そう言い切るアドニスを不思議に思ったが、話を聞く暇も無く。向こう側から壁が破壊される音が響く。

ミア「ぴゃっ!?びっくりしましたが…どんな奴が出ようが、ボクがミンチにしてやりますよ!」

アドニス「ミア…!?」


ミアは何かに嚙み付かれた。ミアは悲痛な叫び声をあげた。

ミア「ううぅ…!!」

アドニス「危険だ…!下がるんだ、ミア!」

ミア「…いってえのですーーーっ!!こんちきしょーめっ!!
完全に頭に血が上った半妖精は聞く耳を持たず。怒りをぶつけるように、噛みついた何かへ魔法を放った。


矢はドラゴンバットに命中し再起不能にした。

ミア「どんなもんだい!」
誇らしげに笑みを浮かべる半妖精だが、倒したドラゴンバットの後ろから現れた存在に、その表情は凍りついた。こちらを見る冷たい鉄仮面。威圧感がある黒衣の長身。その手に握るのは鋭く研がれた大斧だ。

ミア「……ふえぇっ!?なんか怖いひとがいるのですー!!」

デイビッド「死刑執行人じゃないすか!?ボス、消毒ですぜ消毒!!」

アドニス「…ああ、なるほど。やっと意味がわかった」



アドニス「ヒャッハー!消毒だー!」

ルシアン(流石に親父さん困惑しそうだな…)

アドニス「これで安全に…ぬ?『死刑執行人』だと…!?」
少年は驚愕する。だが、そのまま取り乱さず。炎の衝撃の杖+2を振るう。弱点とする火炎に包まれて、弱ったように呻く『死刑執行人』だが、ショートテレポートを唱え。姿を消してしまった。

デイビッド「ボス!こっちに、奥の方に居ますぜ!」

アドニス「逃がさん…っ!」


『死刑執行人』を追いかけ。仲間と共に、炎の衝撃の杖+2で攻撃を加えるが、『死刑執行人』はまだミンチにならない。刻々と死の宣告のターンが過ぎ。使用回数が0になってしまった。そこに死神の使いが現れ。ますます混沌とする戦場…その時、死病の遺跡のボス『マカブル』が姿を現した!

アドニス「このまま『死刑執行人』を倒せないと、”夢”のとおり全滅に…!」

ミア「まだ時間があります!ボクの幻惑の矢でチクチクやってやりますー!」

ベアトリクス「私のライトニングボルトも期待してほしいな」

ルシアン「増えた死神の使いは任せろ!吹っ飛ばしてやる!」

デイビッド「アッシもタマをいっぱいぶつけてやりますぜ!」

アドニス「みんな…!俺も諦めない…!」
マカブル「…」
しかし、誰もその存在を気にしなかった。


少年がトリガーを引いた瞬間、『死刑執行人』は再びショートテレポートで姿を消し。銃口から放たれた弾は近くにいた『マカブル』に命中した。床に転がった不気味な人形はみるみる崩れ、塵となった。

アドニス「今のは…?いや、そんなことはどうでもいい。『死刑執行人』を探さないと!」


ボルトは『死刑執行人』に命中し焦げカスにした。

アドニス「…っ!」

ベアトリクス「やったね」

ミア「わーい!わーい!」

ルシアン「いえーい!」

デイビッド「へーい!」
勝利の喜びを分かち合うようにハイタッチする一行。しかしアドニスはハッとしたように、表情を消し。未探索の部屋を睨んだ。

アドニス「向こうにまだ死神と”かぼちゃ”たちが居るはずだ。このまま制圧するぞ!」

ルシアン「かぼちゃが?」


少年の言葉どおり、反対側の部屋には死刑執行人とかぼちゃが待ち構えていた。だが、先ほどの混乱した状況と違い。皆、冷静に動き。呆気ないほどに戦いは終わった。

デイビッド「どっちもこっちも、死神だらけとは…恐ろしいところでやしたね」

ベアトリクス「滅んだ原因は病ではなく、彼らの仕業だったのかな?今でも、ここを根城にしていたということは」

ルシアン「過去は闇の中…そして、現在あるのは平和さ。ここの墓場で眠る人々はやっと静かに眠れるだろう」
そう笑んだルシアンはさりげなく、手首に巻いたペンダントの十字架を手に取り。祈るように、両手で握った。

ベアトリクス「ふふ、そうだね」

ルシアン「……うーん。やっぱ気になるから聞くぜ。アドニス。なんだか最深部に何があるのか、わかってるみたいだったけど。どういうことだ?」

アドニス「…。夢で見たんだ」



アドニス「今日と同じように、皆と死病の遺跡の攻略に向かい。数々のモンスターたちを倒し。愛らしいカオスハウンド部屋にも遭遇したが、なんとか脱出した。そして、最深部に辿り着き…」

ルシアン(愛らしい…?)

アドニス「左の部屋へ向かい。かぼちゃと死神たちと交戦し、なんとか倒したのだが…」



アドニス「まずミア、ルシアン、ベア姉、デイビッドと…次々と死の宣告に倒れ。最後には俺も…。今、思い出してもゾッとする光景だった」

ミア「そんな悪夢を見ていたなんて…ごめんなさい。ボク、もっと早く起こすべきでしたね」

アドニス「ミアは俺のことを心配して。必死に起こそうとしてくれたのだろう。だから、気にするな」

ミア「えへへ…ドニちゃん。優しい大好き~~」

ベアトリクス「それにしても、まるで予知夢みたいだね。アドニスくんの言うとおり、かぼちゃがいたのだから」

アドニス「…そうかもな」

ルシアン「…。まあ、気持ちいいものじゃないよな。…よし、今夜は俺の柔肌でベッドとアドニスを温めてやるよ」

アドニス「…してもいいぞ」

ルシアン「えっ!?」

アドニス「俺は棺桶で寝る」

ルシアン「俺が寂しすぎるだろ…!」

アドニス「ははは!」(…そう。夢は夢だ。現実とは異なった結果になった。それで充分じゃないか)

 


ボス戦 2:10 おまけの失敗編 4:02
死の宣告がとにかく恐ろしい戦いだった。というか炎の衝撃の杖を1本しか持ってなかったのが良くなかった。運よく勝てたところがありますね。
今回のログをじっくり見て、気づいたのですが。死の宣告をかけた奴とは別の死の宣告持ちをミンチにしても、宣告が解除される場合があるみたいだ?
マカブルは本当に、いつの間にかミンチになっていた…?という印象で。『死刑執行人』の方がしぶとく、目立ち、倒した達成感があり。あんな扱いになってしまいました…うん、なんかごめんね?

 

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