ある吟遊詩人とロイター

ザナンの強肩だったか?違った気がするが、俺が駆けだしの吟遊詩人の頃にその男によく石を投げられたものだ。 普通の投石なら、かすり傷で済むだろう。 だがな、その男は違った。 石を手に取るその動きは無駄がなく、振り上げるその腕。石を握っていた指まで無駄が無かった。 ゴッ、そんな音が響いて、さっきまで元気だった俺の身体は倒れた。 ただ石ころが腹に当たったと思ったのに、まるで巨人にも殴られたような衝撃が走 […]

レントンと妹

 少女の声が聞こえる。  それは聞き覚えがある声。  才能が無い自分など生きる価値など無いと湖に飛び降りて、そのまま冷たい水の中で息絶えた妹の声だ。  なんて言っているのかわからない…ただ私にわかるのはそれは妹の声だということだ。  レントンは「ああ…」と呟く。  生気が無い人形のような顔に笑みを浮かべた。それは壊れかけた笑み。 「呼んでいる。やっと呼んでくれた…行こう」  魔術師の男は湖に飛び込 […]

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