ぷよ魔導

SSS2

甘い【アルル】  キミの唇は甘いね。  ボクの唇がとろけそう。  なに照れてるの?  無理やり奪っておいて照れるなんて、やめるなんて言わせないよ。  ねぇ、キミはどんな味がする?  ボクの味は、  甘くて、とけそう?  ねぇ、もっとキミの味でとろけえさせて、ボクはキミの中でとけそうなんだ。 歪曲恋愛【病み気味アルシェ】  綺麗だな、と見つめるんだ。  だって本当に綺麗だから、  銀の雨のような美し...
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ある日の平和な平原にて

そいつはいつも微笑んでいて、  そいつはいつも俺の側にいる。  背後から抱きついてきて、  いつもドキドキさせられる・・。  温度がない、冷たい手。  視界に映る髪は、俺と同じ銀色。 「あなたと私は一心同体なのです・・」  と耳元で囁いて、  それに俺は、  俺は、 「いい加減にしろ!元祖変態が!」  と、怒鳴りつけて、その元祖変態男に殴りかかる。が、すり抜けた。 「この程度で動揺するとは、まだま...
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たまにはこんな日

うららかな陽気。  穏やかな風が吹く午後。  ふと、呟く。 「おなか空いた・・」  そう呟いたのは白い魔導服を着た青年。  珍しい銀髪に青い目で、なかなか美形だが・・  ぐぅぅぅぅっ~。  その青年の腹から響く音ですべてが台無しとなっていた。  ぐぅぐぐぅ~。  まるでどこかの生物の鳴き声のようだ。 「ぐっ!」  その音に引き寄せれたのか草むらから現れる黄色い生物・・カーバンクル。 「呼んでない!...
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嫌いな理由

眠っている・・?  碧い草原の上に散る銀色の髪。  閉じられた白い目蓋。  深緑のローブの上に黒い外套を着た、魔導師らしい格好をした男。  かつて、賢者の都ラーナを滅ぼし、罪もない多くの人間を虐殺・・という悪の華を咲かした闇の魔導師。  名はルーンロード。  勇者によって倒された後もこの世に執着し、  次代の後継者を新しい自身の身体として、その魂を殺そうとした邪悪なる亡霊。 「のくせに、こんな場所...
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慣れあい

その人の髪は銀色で、俺と同じ色。  その人の瞳は鮮血ように赤く、その白い肌を血で染めたらとても綺麗だと思える。  冷たい石畳みに散る絹糸のような髪に少年は血で塗れたで触れて、指に絡める。  手のひらの中で、鈍く光る剣を踊らせる。 「あっ・・うぅっ」  薄い唇から洩れる声。  低い、けれど男らしさをあまり感じさせない声。  顔立ちも柔和な印象で、神話の中性的な神のような美しい顔だ。  けれど、その男...
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闇の声

そこには闇が住むという。 「闇?」  闇なんてどこにもあるものだろう。  暗い夜。  人の心の奥に、  ひっそりといつも、 「闇が…住んでいる?」  わけがわからない、と彼はもう一度呟く。  魔導の淡い光に輝く銀色の髪。  ルビーのような赤い目。  額には三日月型のサークレットを身につけ、黒い外套を纏った青年。  彼の名はルーンロード。けれど、本当の名でない。 「ただのお伽話か…化け物か。一応確認...
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消えるな

「シェゾ=ウィグィィ…」  嫌なほど聞きなれた声が聞こえてくる。 「シェゾ=ウィグィィ…」  すごく目を開けたくないが、シェゾはゆっくりと目蓋を開く。  やはり目の前には長い銀の髪に赤い目の男。ルーンロードがいた。  先代の闇の魔導師であり、その昔にシェゾが引導を渡したはずの亡霊なのだが・・。  なぜか未だに成仏せず、シェゾの守護霊です♪と、言ってストーカーしている奴だ。 「てめぇ、いいかげんに…...
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月夜の日には

んんっと背伸びをする。  背がピンとして、気持ちいい。  背には脱出した遺跡ダンジョン。目の前には森。空は星々が輝く夜空。 「すっかりおそくなっちゃったな~」  ぽんぽんと、服と青い魔導アーマーについた埃や泥を払う。  シャワーでも浴びたいな・・すっかり汗臭いや。  少し緩んだバンダナを直そうと、量が多い栗色の髪を束ねている青いバンダナをほどく。 「あ」  悪戯な風が吹いて、バンダナはどこへ飛ばさ...
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月蝕

「シェゾ。見てごらんなさい。今夜は月食ですよ」  女のように長い髪の男は子供のようにはしゃぎながら、俺に話しかける。  窓の前に立ち、月淡い光に輝く銀色の髪。俺と同じ銀色。こちらを見る中性的な整った顔は、穏やかに微笑んでいる。  男は名はルーンロード。その昔、俺…闇の魔導師シェゾ・ウィグィィが倒したはずの先代の闇の魔導師……そして、今現在俺に纏わりついている亡霊だ。  ルーンロードが見つめている先...
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勇者の秘密

君はいつもあの子しか見ていない。  あの子の名ばかり呼ぶ。  あまりにも苛立って、  あの子ばかり呼ぶ声を聞きたくないと、  君の唇を塞いだ。 「な・・何をするんだ。ラグナス!?」  ひどく驚いた顔で、ラグナスを見るシェゾ。  ラグナスは俯いたまま何も答えない。 「答えろ」  シェゾはわけがわからない状況に、気味が悪いものを感じていた。  いつもどおり顔をあわせたから、たわいもない雑談をしていただ...