その他

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嫌いな理由

 眠っている・・?  碧い草原の上に散る銀色の髪。  閉じられた白い目蓋。  深緑のローブの上に黒い外套を着た、魔導師らしい格好をした男。  かつて、賢者の都ラーナを滅ぼし、罪もない多くの人間を虐殺・・という悪の華を咲かした闇の魔導師。  名はルーンロード。  勇者によって倒された後もこの世に執着し、  次代の後継者を新しい自身の身体として、その魂を殺そうとした邪悪なる亡霊。 「のくせに、こんな場 […]

慣れあい

 その人の髪は銀色で、俺と同じ色。  その人の瞳は鮮血ように赤く、その白い肌を血で染めたらとても綺麗だと思える。  冷たい石畳みに散る絹糸のような髪に少年は血で塗れたで触れて、指に絡める。  手のひらの中で、鈍く光る剣を踊らせる。 「あっ・・うぅっ」  薄い唇から洩れる声。  低い、けれど男らしさをあまり感じさせない声。  顔立ちも柔和な印象で、神話の中性的な神のような美しい顔だ。  けれど、その […]

闇の声

 そこには闇が住むという。 「闇?」  闇なんてどこにもあるものだろう。  暗い夜。  人の心の奥に、  ひっそりといつも、 「闇が…住んでいる?」  わけがわからない、と彼はもう一度呟く。  魔導の淡い光に輝く銀色の髪。  ルビーのような赤い目。  額には三日月型のサークレットを身につけ、黒い外套を纏った青年。  彼の名はルーンロード。けれど、本当の名でない。 「ただのお伽話か…化け物か。一応確 […]

消えるな

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「シェゾ=ウィグィィ…」  嫌なほど聞きなれた声が聞こえてくる。 「シェゾ=ウィグィィ…」  すごく目を開けたくないが、シェゾはゆっくりと目蓋を開く。  やはり目の前には長い銀の髪に赤い目の男。ルーンロードがいた。  先代の闇の魔導師であり、その昔にシェゾが引導を渡したはずの亡霊なのだが・・。  なぜか未だに成仏せず、シェゾの守護霊です♪と、言ってストーカーしている奴だ。 「てめぇ、いいかげんに… […]

月夜の日には

 んんっと背伸びをする。  背がピンとして、気持ちいい。  背には脱出した遺跡ダンジョン。目の前には森。空は星々が輝く夜空。 「すっかりおそくなっちゃったな~」  ぽんぽんと、服と青い魔導アーマーについた埃や泥を払う。  シャワーでも浴びたいな・・すっかり汗臭いや。  少し緩んだバンダナを直そうと、量が多い栗色の髪を束ねている青いバンダナをほどく。 「あ」  悪戯な風が吹いて、バンダナはどこへ飛ば […]

月蝕

「シェゾ。見てごらんなさい。今夜は月食ですよ」  女のように長い髪の男は子供のようにはしゃぎながら、俺に話しかける。  窓の前に立ち、月淡い光に輝く銀色の髪。俺と同じ銀色。こちらを見る中性的な整った顔は、穏やかに微笑んでいる。  男は名はルーンロード。その昔、俺…闇の魔導師シェゾ・ウィグィィが倒したはずの先代の闇の魔導師……そして、今現在俺に纏わりついている亡霊だ。  ルーンロードが見つめている先 […]

勇者の秘密

 君はいつもあの子しか見ていない。  あの子の名ばかり呼ぶ。  あまりにも苛立って、  あの子ばかり呼ぶ声を聞きたくないと、  君の唇を塞いだ。 「な・・何をするんだ。ラグナス!?」  ひどく驚いた顔で、ラグナスを見るシェゾ。  ラグナスは俯いたまま何も答えない。 「答えろ」  シェゾはわけがわからない状況に、気味が悪いものを感じていた。  いつもどおり顔をあわせたから、たわいもない雑談をしていた […]

こいはな

 その日、酒に付き合ってもらっただけだった。  なのに…… 「好きなんだ!」  酔っ払いに絡まれることになった。  夜空に浮かぶ月は流れる雲に見え隠れし、今宵は頼りない月光。  人里から離れた崖の上に吸血鬼が住む不気味な城があった。その庭の東屋で二人の男は雑談を交えながら酒を飲み交わしていたが… 「あなたほど美しい人と心から言える人は他にいないのだよ……!」  芝居がかかった口調で愛の告白をする、 […]

喧嘩

 きっかけはわからない。  ただお互い腹が立った。それだけだ。  シェゾは呪文を唱える。右手から炎が吐きだされる。  襲いかかる炎にルーンロードは、まったく避ける様子なく冷たく微笑を浮かべる。炎に飲み込まれる。  激しく空に向かって燃える火柱。  普通の人間なら丸焦げどころか消し炭になってしまうだろう。だが、シェゾは油断しない。奴は元闇の魔導師…  かつて魔神、悪魔を従え、魔導都市ラーナを一夜にし […]