「・・・・」
サタンはしばらく無言で立ちつくしていた。
目の前にあるそれに、
目の前にあるそれに、
「すーすー」
「ぐぅ・・ぐぅ」
カーバンクルを抱き締めて眠るアルル。
可愛いねこ模様パジャマを着ていて、襟元からのぞく白い鎖骨も可愛くて・・・。
「むむぅ・・!」
寝顔を見るだけのつもりだったが・・。
可愛い。可愛すぎる。
なんて可愛いんだ。
このまま抱き締めて、キスをしてしまいたい。
目を覚ましたアルルは嬉しいってくれるだろうか?
嫌・・って言われたら、悲しいな。
けれど、抱きしめたい。
キスをしたい。
愛しているのだから、誰よりもなによりも・・あの人より・・きっと。
今の私にとって、とても大事な少女だ。
もう一度たった一人の人間を愛そうと思えたのだから・・・。
「アルル・・お前はなんて答えてくれる?」
その答えを聞くために、アルルに口づけとするサタン。
だが、
「待て、ロリコン魔王」
「貴様・・邪魔するではない!」
お邪魔な変態が現れた。
「ふ・・邪魔なのは貴様だ。アルルは俺のものだ」
「寝ぼけたことを言うな、愚か者。アルルは我が妃だ」
「・・・・」
「・・・・」
ぶつかりあう、赤い目と蒼い目。
二人の間でばちばちと、激しく魔導力の波動がぶつかりあう。
「アレイ・・」
「ギガ・・・」
互いに強力な呪文を唱えようとした時。
「ぐぅ!」
「カーバンクルちゃん!?」
「ま、まさか!?」
そのまさかであった。
いや、お約束と言うべきか。
「ぐぐぅ♪」
カーバンクルの額の宝石から放たれる、強烈なビーム。
「ぎゃあああぁぁぁ!!」
「ぐわあああぁぁぁ!!」
哀れな男二人は外へ弾き飛ばされた!
「ぐぅ♪」
「あれ、カーくんどうしたの。ベットから落ちたの?」
それになんか、ものすごく聞き覚えがある悲鳴が聞こえたような気がする。
「ぐぅぐぐぅ。ぐ~ぅ」
「眠たい?それならほら、僕の腕の中でおいで、カーくん」
「ぐー」
カーバンクルは嬉しそうに、勝ち誇ったように鳴いて、アルルの腕の中へ飛び込んだ。
2009/12/25
お約束です。