クレイモア吸血鬼の旅行記94 ノヴィスワールド-グウェンへいきだもん!-


?????「そこの貴方ー。そうです、今この声を聴いている定命の方ー」

アネモネ「…ぬぅ……?」
おっとりとした呑気な印象を受ける女性の声が突然と聞こえてきた。眠っていた吸血鬼は目蓋を開くが、周りには誰もいないようだ。
??????「もしも、自身の運命の相手を知りたいなら、乞食の洞窟奥にある私の祠を訪ねなさい…」

アネモネ「…勧誘はお断りだぞ」
?????「この恋の女神が…って、なんてひどいことを言うのです!!こうなったら、強制移動です!移動ですぅ!」

アネモネ「なぬっ…!?」


ビスバテン「パンパカパ~ン♪ようこそいらっしゃいました、踊れ月光アネモネさん。私は人々から忘れられた旧き神々の一柱、《恋のビスバテン》。この私の神殿に人間が足を踏み入れたのは実に数百年ぶりのことですね。求めに従い召喚された貴方を、私たちは歓迎しますよー」

アネモネ「ベッドの上で甘い言葉で囁き、さらうとは…大胆な女神であるな」
ビスバテン「え?えええっ!?そんなつもりでは…私はお手伝いが出来たらな~と。貴方と関わりがある人たちはなかなか厄介な事情を抱えている。そして、世界の命運が貴方の手に委ねられているのです!ということで…種族も性別も越えた、純粋な想いによって繋がる恋をしましょう♪」 恋する乙女のように瞳を輝かせ、真っ直ぐとこちらを見つめる女神。

アネモネ「…」 吸血鬼は、しばし無言の後。入り口らしい階段へ歩きはじめた。
ビスバテン「これからどうすればいいか、私が導いて…あれ?どこに行くのですか?ま、待って~」

 

 


アネモネ(…少々遊んで忘れるか)
夜風にマントが翻り、一瞬吸血鬼の姿を隠す。闇に染まったマントから現れたのは黒い髪。血のように赤い目の長身。男へ変じた吸血鬼は気まぐれにヨウィン村に入っていく。適当に興味を引いた人間で…。

グウェン「あ、アネモネお兄ちゃん」

アネモネ「そなたはグウェンではないか。…こんな時間に散歩か?ガードが見回りしているとはいえ、こわーい狼に襲われるぞ」
グウェン「考え事していたら、すっかり真っ暗になっちゃったの。お兄ちゃん、その…私の家で一晩付き合ってくれないかな…?」

アネモネ「え…?いや、待て。そなたはまだ子供だろう」
グウェン「むーひどい!ポートカプールの海が割れた大騒ぎやミーアさんの遊園地とか、おかしな事件をいっぱい起こっていて…。世界が取り返しがつかない事になる前に、私も何かやれることあるんじゃないかって、お兄ちゃんに相談したかったのに…」

アネモネ「すまない…。我ながら、失言だった。詫びに”なんでも”お願いしていいぞ」
グウェン「なんでも!じゃあ、私を———お兄ちゃんの旅に連れて行って!」

アネモネ「駄目だ」 即答した吸血鬼だが、グウェンの泣きそうな顔に気付いて、こう続けた。「…いきなりは無理だ。そうだなぁ…訓練してやろう」
グウェン「ほ、本当…?———うん、よろしくお願いします!」

 

~アチュアンの樹海~

グウェン「お兄ちゃんに付いて回って、罠や魔物をくぐり抜ければ良いの?な、なるほど、実践的だね…!」

アネモネ「うむ、励めよ」(ここなら、そんな危険な奴はいなかった気がする…)
グウェン「わぁ、ゴツゴツした見た目のモンスターがいるね」 無邪気な少女はニコニコと笑いながら、ホーミング爆弾岩に囲まれていた。

アネモネ「!?」
グウェン「お兄ちゃん?」 驚きに硬直している吸血鬼を不思議そうに少女は見つめた。

アネモネ(思わず大声を出すところだったわ)「グウェン。そやつからなるべく離れろ。近くにいると爆発に巻き込まれる。距離を置いて倒すのだ」
グウェン「う、うん。わかった」
冷静な言葉を聞いて、少女は少しずつ吸血鬼の傍に近づいていった。その間にアネモネは攻撃魔法を詠唱し。確実にホーミング爆弾岩のHPを削り、殲滅してくが———


ホーミング爆弾岩はグウェンのすぐ近くにテレポートしてきた。少女は咄嗟に護身用の武器を振り上げる。だが、刃が触れる直前にホーミング爆弾岩は姿を消した。吸血鬼がテレポートの杖で、どこかへ飛ばしたのだ。

アネモネ(肝が冷えた)「勇敢なのは良いことだが、時に相手せず。己の戦況を整えるのも大事だぞ」
グウェン「つい殴っちゃうところだったよ…ありがとう。お兄ちゃん」

アネモネ「気にするな。…慣れている」 カミカゼイークの群れに突撃爆死したり、罠でミンチになったりした、かつての下僕共の姿を思い出し。吸血鬼は、なんだか懐かしい気分になった。

 

無事、斜め指定できてよかった。←↑同時押しで、よく左になったり、上になったり…。ALTキーを押せばいいんだが、つい忘れがちだ。



アネモネ(そうだ。紐で繋いでおけば、守りやすくなるかもしれん) そう考え。紐…鎖が付いた首輪を荷物から取り出し。吸血鬼は少女に装着しようとした。
グウェン「どうしてそんなことするの…!?」

アネモネ「ぬぅ?」 なぜ非難されたのかわからないという様子で、吸血鬼は首を傾げた。「どうして?とは…。探索中にはぐれないように、紐で繋げておくのは冒険者にとっては常識なのだが」
グウェン「そーなんだ…ごめんね。お兄ちゃんのこと、変態と思っちゃった」

アネモネ「…いや、説明無くやろうとした我が悪かった」 吸血鬼は内心傷付いた。

 


アネモネ(出オチな爆弾岩をミンチにし。ゆるりと森のお散歩を楽しめると…我はそう思っていた)

グウェン「きゃあ、でっかいトカゲ!」

アネモネ「ははは、ふはーはははははっ!賑やかな夜だな!」 吸血鬼はそう言い放ち。銃の装填を連射弾に切り替え、ドラゴンに弾丸を叩き込む。
グウェン「わ、私も…!」 勇ましく短剣を手にドラゴンに突進していく少女。吸血鬼は咄嗟に紐を使用するが…なぜか引き寄せる魔法が発動しなかった。

アネモネ(紐の効果が効かぬとは、とんでもないじゃじゃ馬だな。まあよい、グウェンに触れる前に我がミンチにしてしまえばいい!)
どんなに巨大で、山のように目の前を塞いでいようが。弾丸が小さな穴を空けていけば、血はいくつもの川のように流れる。ドラゴンたちは次々と己の血がひとつとなった大海に沈んでいった。

 


グウェン「えへへっ♪綺麗だね~」
満面の笑みでくるりと花園の上を舞う無邪気な少女。その周辺は骸が散乱し、赤い花が香っていた。

アネモネ「ああ、美しいであるな」(我は甘く見ていたのかもしれんな。一時の戯れだと…。なら、我の本気を出しても構わないか)
グウェン「うーん…。何かあるような気がするんだけど、他に何も見当たらないね」

アネモネ「ふふ、こういう時はな。破壊すればいいのだ。さあ、我が言ったことを復唱せよ。パワーをメテオに!
グウェン「パワーをメテオにー!


グウェン「けほっ…けほっ…す、すっごーい♪」 少女は目を輝かせてた。

アネモネ「はっはっはっ!素晴らしいだろう。この鮮烈な衝撃!圧倒的な破壊!ストックを集められる機会が少ないのが難点だが…。そなたも覚えることがあるなら、やってみるといい」
グウェン「うん!私もお兄ちゃんみたいに…ドーンって、破壊できるように…きゃ!?」


少女の細い足に緑色の触手が絡まった。意思を持って蠢く蔓の先には、怒り狂った瞳があった。それは森の奥に潜み。ドラゴンの猛攻に弱った冒険者たちを、養分として喰らってきた『深緑の怪物』だ。

アネモネ「なんだ。震えて体液を漏らして、見つからないようにお祈りしなくていいのか?それとも、腹が空いたのか?未熟なものを食しても、不味い思いをするだけだぞ。このようにな!」
吸血鬼はファイアボルトを唱えた。『深緑の怪物』を容赦なく燃やす炎の渦。そして、爆発が起こる。
グウェン「あっつぅっ!!」 その火炎は少女の身体まで焼く。だが、吸血鬼はためらいなく再びファイアボルトを放つ。「ううっ!!」

アネモネ「グウェンよ、手加減してほしいか?その身を焼く熱は消えるだろう。だが、他の手段では時間がかかり…そなたは溶かされてドロドロになり、醜く肥えた植物の糧となるだろうな。まあ、そなたは花が好きだから。嬉しいと思うかもしれないが…。さて、我にどうしてほしい?」
グウェン「わ、私は強くなる!なるんだっ!!私は生きたい!」 力強く言い放つと、少女は短剣を握る腕を無理やり動かし。『緑の怪物』に突き刺した。

アネモネ「良い。良いぞ!はははははっ!ふはーははははははははははっ!!」
グウェン「うあああああああああっ!!」 少女は吠え。何度も同じ場所に短剣を刺しては抜き、刺していく。吸血鬼はその姿がとても愛しく感じ、こっそりと生命の杖で傷を癒してやった。


ボルトは『深緑の悪魔』に命中し 粉々の肉片に変えた。 グウェンの投げつけた短剣が深緑の悪魔に致命傷を与えた。
グウェン「やった!やったよ!」 無邪気な少女は誇らしげに体液まみれた短剣を掲げた。

アネモネ「素晴らしい。そなたはもう立派な淑女だな」
グウェン「私、お兄ちゃんに負けないほど…ううん、すごい冒険者になるよ!」

アネモネ「はははっ!それは楽しみだな!」

 


1番の強敵はホーミング爆弾岩でしたね。後は気をつければ、楽かな?実は速度差でグウェンちゃんを置いていってしまうので、紐で繋いだのだが…設定されていたセリフを見て、完全に犯罪な光景だと気づいた。
Q:グウェンちゃんがミンチになったら、即終了するのに。なぜメテオ?
A:行き止まりから、どう進めばいいのかわからず詰まったので、吹っ飛ばしました。それで奥の存在にやっと気づいたので、やり直しでもやることにした。

 



エリザ「もう!起きたら、どこにもいなくて…心配しましたのよ」

アネモネ「エ、エリザ…今回は不可抗力という奴でな…」 怒りに眉を吊り上げる少女の細い指は、今にも柔らかな頬を摘まもうとしている。吸血鬼は本能的に、後ろに逃げていく。
グウェン「あ、おに…今日はお姉ちゃんなんだね。見て。この間、修行に行った森の中で私、こんな籠手を拾ったんだ」 グウェンの両手に、純白の輝きを放つ美しい水晶の籠手が握られている。「すごいの。これを身につけていると、体の奥から滾るのように力が湧いてきて…」
農家のおじさん「グウェンちゃーん。すまねえ、開拓してる土地にドデカい岩があって、畑が耕せねえんだ」
グウェン「あ、はーい。危ないから少し離れててね、おじさん。————ふんっ!」 少女の掌底で、岩盤は粉々に砕け散った!

エリザ「え…?」

アネモネ「おお、少し会わぬうちにまた成長しておるな~。ステーキにならず素敵なレディになっていくな。ははは!」

エリザ「意味がわからないこと言ってないで、説明してちょうだいっ!?」

アネモネ「ほう。そんなに知りたいか。我とグウェンの熱い一夜を…」 吸血鬼は今までの出来事を語った。その話を聞いたエリザの顔色はみるみる青ざめた。

エリザ「……。あなたというひとは…!」 愉快そうに高笑いするアネモネの頭に、少女は恐ろしい速さでユニコーンの角を一突きした。

アネモネ「ぬわあああああああああああああっ!!」 吸血鬼は絶叫し、倒れた。流石に気を失ってしまったようだ。
グウェン「エリザお姉ちゃんの早業すごーい。どうやって身に着けたの?」

エリザ「阿呆に付き合っていたら、嫌でも覚えますわよ。…これで頭おかしい行動が少しは減ると、いいのですけど」
呆れたように溜息を吐きながら。けれど、アネモネだからと…仕方なさそうに、エリザは微笑んだ。無邪気な少女はその落ち着いた雰囲気に何か感じ取ったのか。じっと見つめる。
グウェン「…うん。私、エリザお姉ちゃんみたいな女性を目指すよ!」

エリザ「私を?…うふふ、ありがとうございますわ」