クレイモア吸血鬼の旅行記61


ドラクル「ここがパルミア少将のお屋敷でございますか。よく手入れされた庭に立派な外観… 我が城のガーンナさんに負けないほどの仕事をされていますね」
アネモネ「確かに素晴らしい使用人を雇っているようだが… 理由をよく説明せずに強引に我らを連れてきた辺りは、駆け出しの冒険者あろうとミノタウロス退治を依頼する主に似ているな」
エリザ「料理の心得があるかどうか聞いていましたけど…私たち、お料理をすればいいのかしら?」
アネモネ「…」(そういえば…いつも我かドラクルが作っていたから、エリザの手料理を食べたことがないな。…食べてみたい)「料理の話をしていたら、腹が減ってきたであるな~」
エリザ「…コネリーさんを食事するつもりなら、私が見えないところでやってくださる」
アネモネ「吸わぬわっ!」


ロミアス「君か。しばらく見ない内に…」
アネモネ「ラーネイレではないか!相も変わらず麗しいな」
ロミアス「おいおい、人の話を最後まで…」
ラーネイレ「…!…アネモネ?あなたも依頼を受けて此処に来たのね。元気そうで良かった…。さぁ、コネリー閣下のお話を聞いてみましょう」
コネリー「おお…お前たちか。よく来てくれた…」
ロミアス「…」

 

なぜか血吸いのエンチャントが付いた装備をしているレーレレレさん(後のデートイベでも血まみれになっていたので、何か設定があるかもしれない?)


コネリー「恥ずかしながら…。先日の行軍中に空腹のあまり拾い食いをしてしまい、それからどうも体の調子が思わしくないのだ…」
ロミアス「素晴らしい。パルミア王妃直々の依頼が何かと思い出向いてみれば、ただの腹痛とは。ラーネイレ、今度こそ我々の無駄足だったようだ。パルミアの少将がどれほどのものかは知らないが、こんな男の療養に付き合っている暇はない」
ラーネイレ「落ち着いて、ロミアス。とりあいず話を聞いてみましょう」
本当に帰ろうと扉へ向かっていくロミアスを引き止めながら、エレアの少女は穏やかに質問していく。


パルミア少将は気まずそうに事情を話していく。空腹のあまり食べてしまった未鑑定のハーブは祝福されたストマフィリアであった。腹が破裂する!という悲劇は起こらなかったが。それ以降まったく食欲がなく…食事による栄養を摂れてないせいか、身体は痩せ衰えていく一方だ。このままでは女王の護衛、兵たちの鍛錬すらも出来ない。
エレアの民に伝わる料理は古来より滋養強壮に良く。ラーネイレはかなりの調理の腕を持っていると女王から聞いた少将はどうにか治して欲しいと願い。エレアの少女は迷いなく、その依頼を受けた。

ラーネイレ「食欲増進と滋養強壮に適した料理…、献立の大筋はまとまったけれど、問題は材料だわ。私のレシピの中にはどうしても、ヴィンデールの森でしか手に入らない素材が出てきてしまう…」
召使い「…そういうことでしたら、ダルフィの南東に広がるネフィア、〈クッキングケイブ〉に向かわれてはいかがでしょう?かのネフィアはイルヴァ各地の空間と繋がりを有し、奇妙なことに世界中からあらゆる食材が集まると言われています。今は亡きヴィンデールに由来するものであっても、あの場所でならあるいは…」
ロミアス「ーーーそれだ。ラーネイレ、君は調理の支度や器具の準備もあるだろう。そこで今回の材料の調達、そちらの冒険者くんに任せてみてはどうだろう」
ラーネイレ「…?だけど…。事によっては大型の獣の肉を手に入れる必要もあるし…。そもそも、そんな遠方のネフィアの探索を、アネモネたちに負担させるにはーーーー…」
ロミアス「なに。聞けば彼女たちは、あのレシマスから秘宝を持ち帰ることにも成功したという話じゃないか。出会ったばかりの頃とはお互い境遇も違うということだ。餅は餅屋、ネフィアの探索なら冒険者に任せるのが筋というものだ。…そうだろう?」 チラチラと何か察してくれと言わんばかりの視線を送る緑。
アネモネ「…」 欠片も笑ってない目で吸血鬼はエレアの青年を一瞥した。「わかった。ラーネイレ”とは”友人であるからな。引き受けてやろう」


アネモネ「エレアの民であり、その弓で彼女が求める食材を狩ったこともある貴様がなぜ我に頼ったのだ?」 手招くエレアの青年に近づいた吸血鬼は率直に聞いた。
ロミアス「私は守りたいのさ。パルミア国とエレアの民の友好な関係をね。彼女の料理の腕は本物だが…それ故、レパートリーは膨大で、中には恐ろしく危険度の高いものが混じっている。特に滋養と強壮を重視したテーマの料理にその頻度が高くてな」
“その”光景を思い出したのか。ロミアスはゾッとしたように顔色を悪くした。
ロミアス「…私は今でも覚えている。「腰痛に良い」とラーネイレが振る舞ったスープを口にした瞬間、里の長老の口から凄まじい炎が噴き出した光景を…。最終的な効果の程は確かだったそうだが、あまりの辛さに彼は三日三晩悶絶し、地獄の苦しみを味わったという。私はその二の舞を防ぎたい」
アネモネ「つまり。我が持ってくる素材に危険性があるのは排除してほしいということか」
ロミアス「そうだ。クッキングケイブの探索に同行できなければ、ラーネイレが食材の選択に口出しする道理はないし、選んできたのが君だといえばソレがなんであろうと、彼女は文句を言わず調理台に向かう筈だからな。…ふん。そんなにニヤニヤ笑っていると、いつも一緒に居るお嬢さんが拗ねてしまうぞ」
アネモネ「ぬ…貴様がヴェルニース酒場の尻に夢中になっていたと噂で知ってるぞ」
ロミアス「は、はははっ…お互いに不毛な会話だと思わないか」
アネモネ「そうであるな…」

 

~クッキングケイブ~

ジル「はわわっ!どこを見ても美味しそうですです」
ドラクル「ケーキの壁にクッキーの床…どれも本物でございますね。ここでなら、いつでもティータイムの菓子に困らないですね」
アネモネ「ふははははははっ!なかなか興味深いモンスターであるな~ 持ち帰って増えるか試して…」
エリザ「や・め・てくださる!今日のおやつよ♪と、お皿に載ったマッチョプリンとか悪夢ですわ」


アネモネ「おお、美しい鹿であるな。積もったばかりの白雪かのようだ」
ドラクル「ヴィンデールの白亜鹿。名前のとおり、森に生息していた貴重な生物でございますね。ロミアスさんは【深緑のリンゴ】【太陽のハーブ】【黄金鳥の卵】…そこに加える最後の決め手となる食材が必要と言っていましたが、この鹿肉は良さそうですね」
アネモネ「鹿のもも肉か…想像したら、本当に腹が減ってきたのである」
ドラクル「ラーネイレさんは私たちの分も作ると言っていましたから、帰還までお腹を空かせましょう。お嬢様」
アネモネ「ふふふっ。楽しみである♪」
エリザ「…」


アネモネ「胴は短く太い蛇のような姿…こやつはツチノコであるか!?」
ドラクル「未確認動物…俗称UMAでございましたね。いると噂されるが存在を確認されていない生物に遭遇するなんて驚きです」
アネモネ「ツチノコは非常に素早く、高いジャンプ力を持っているだったか…どういう生態をしているのか、知りたいであるな~ 城に…いや、食材として持って帰ろうではないか」
エリザ「依頼とはぜーんぜん関係ないあなたの趣味の研究にしてちょうだい!そんなものを入れようとしないでっ!」


アネモネ「この造形…現代のドラゴンではないな。古代の竜を見れるとは…ふはーはっはっはっはっ!冒険者の癖で最奥まで来たかいがあるな!」
ドラクル「ドラゴン肉は生命力と魔力が満ち、美味で。売価も他のモンスター肉と比べ高価… 古来の竜となれば食せば素晴らしい味でしょうね」
アネモネ「ふふふふふっ…ふはーはははははははっ!決めたぞ。貴様を美味しく食べてやるぞ!ははははははははっ!!」
ジル「マスターの笑顔のために切り刻んでブロック肉にしてやるのですです♪ふひーひひひひっ♪」
古代の竜「!?」

エリザ(みんな、お腹空かせているから。狩りに夢中になっていますわね。美味しい手料理…ね)

 


エレアの少女はひどく驚いた様子であったが、テキパキとした動きで持ち帰った古代竜の肉…★《レジェンドミート》を調理し、出来上がったのは…

 

ロミアス「ヴィンデールロイヤル…。こんなもの、エレアの私でさえ見たことないぞ…。そもそも実在したのか、この料理は」
ラーネイレ「…ええ。私も母から残されたレシピを目にしていただけで、実際に調理するのは初めての代物よ。幻の古代竜のフィレ肉…見つけることも調達することも不可能だと云われているのに…」
コネリー「そんなのに珍しい食材なのかね」
ラーネイレ「それはもう。古代竜は森奥の原生林区にしか生息していない、強大な力を持ったドラゴン種でしたから。ヴィンデールロイヤルという料理自体がもはや一種の伝説のような扱いで、ソースの調合法に至っては基本的に一子相伝。現代で引き継いでいるエレアは、風を聴く者に選ばれた私と、もう一人の幼馴染しか存在しません」
ロミアス「…壮絶な肉汁と絡み合うソースに舌が蕩け、口にした瞬間、天にも昇る心地を味わうというが、果たして…」
そう打ち合わせたわけじゃないが。皆でフォークに刺した肉を眺め、ほぼ同時に口へ運ぶ。
ラーネイレ「!!
ロミアス「!!
コネリー「!!
アネモネ~~~んまぁいいいっ!!のである~~~~~~!!

 

エリザ「ラーネイレさん。本当にありがとうございましたわ」
ラーネイレ「ええ。また機会があったら、お話しましょう」

アネモネ「…」(急に2人きりで話したいと言い出した時は一体何が起こるんだと思ったが… 話していた、だけだな?)
エリザ「…気になります?」
アネモネ「…とても」
エリザ「くすくす。ちゃんとしたものが出来たら、初めてをあなたにあげますわ」
アネモネ「…!?」(どういう意味だ…!?)