クレイモア吸血鬼の旅行記52


アネモネ「ここが古代都市ゼイレンか。土埃を被っておるが、確かにレム・イドより古い時代のものというには、ほとんど崩れてないな。誰かに管理されているかのようだ」
ドラクル「どこからか機械が動いている音が聞こえますね。パルミア女王が言っていたとおり、この遺跡は”生きている”のですね」


事はパルミアを訪れた時に始まった。新たに発見されたネフィア、古代都市ゼイレン
すれ違う人々はその話題で賑わっており、興味を抱いた吸血鬼はエリステアを会いに行くことにした。彼女は王宮の考古学者であり。以前、レシマスを探索する関係で色々と世話になった人物だった。
その縁で、ゼイレンを探索する許可を貰えるかもしれないと。城の書庫へ入ったが、彼女の姿は無かった。そのまま帰るのもつまらないので、麗しい女王を愛でるために謁見の間へ向かうと、女王はどこか不安そうな顔をしていた。スターシャは吸血鬼たちを見ると、少し安心したかのような表情になり。ある依頼をする。
ゼイレンにある遺物を発掘し、研究することに賛同し。エリステアが指揮する調査隊を向かわせたが… 遥か昔の遺跡でありながら、その大半の機能、機械が稼働し。地下から巨大な熱源、マナの流動が観測されていることに、胸騒ぎがする。どうか調査隊の後を追い、ゼイレン内部を探索してほしい。と、


アネモネ「うーむ?機械と科学で繁栄した王国とは思えぬ石造りの古びた遺跡であるな」
エリザ「そうですわね。アクリ・テオラみたいな場所だと想像して… そういえば、少し前に寄った時には建物がほぼ崩壊してて。何があったのかしら…?」
アネモネ「それは…いや、話が長くなるな。今度、話してやろう。今は、先に進むとしよう」

 


アネモネ「これは…まるで別の場所に一瞬で来てしまったかのようだな」
門番らしい機械たちをミンチにして、遺跡内部への入った吸血鬼たちは驚いた。瑞々しく茂った草木に、透き通った水が流れる美しい庭園。そして、その向こうには見たことない金属で構成された床や、壁にひしめく電子配線の通路が見えた。
アネモネ「非常に興味深いが… その前に目的のひとつに挨拶をするか。息災か、エリステア」
エリステア「えーーーー…まさか、アネモネ…?」


エリステア「無事でよかった…。本当に…」
アネモネ「心配させてしまったようだな。ふっふっふっ、我が抱擁にて安らぎを与えて…ぬぐぁっ!?ちょっと、エリザやめ…ぬわっ!?」
エリザ「そんなことをしてる場合ですの…!」(少女はぐいぐいと吸血鬼のマントの襟を引っぱった)
エリステア「あ…。こ、コホン。ごめんなさい、少し取り乱してしまいました。お久しぶりです、どうやら変わりはないようですね。あなたの元気そうな顔が見れて安心しました」
アネモネ「ははっ。そう見えたなら、何よりだ。そなたと、他の者たちも疲弊しているようだが、無事のようだな。女王も喜ぶだろう」
エリステア「スターシャ様が…?」


アネモネ「なるほど。機械共なら、我らが倒した。今なら、安全に戻れるだろう」
エリステア「私も… いえ、調査隊は戻りません。私達は歴史を知るために来たのです。…ですが、ここに来るまで消耗し。負傷者の治療もあり、我々は今すぐにこの場を動くことができません。不本意ですが、またあなたに先行して探索を任せることになっていましますね…。表層では巧妙に偽装されていましたが、この先こそ古代文明ゼイレンの本来の姿だと思います。どうか気を付けて」
アネモネ「任せるがよい。……我から《常闇の眼》を奪えば、歴史についてもっと早く知れると思うが」
エリステア「とても魅力的な話だと思いますが、それはあなたの物です。それに、あなたを敵に回すなんてリスク大きすぎますよ」
アネモネ「ふ。確かに我も怖いなー 我が素晴らしい下僕たちは」


アネモネ「ぬう?遺伝子複合機に似ているが、操作盤が見当たらぬな。隣にある装置で…わからん。ぐぬぬっ、持ち帰って調べたい」
エリザ「そんな重いものを持って行こうとしないでくださる。潰れ状態になってミンチになりたいのですの」
アネモネ「仕方ない。後で回収するかー」
エリザ「たまに機械や歯車などの部品とか… 変なものを集めているようですけど。何か作るつもりですの?」
アネモネ「ふふふっ。動く城とか面白いと思わぬか。あるいは別の場所へ転移する。または夜の間だけ出現するなど… わくわくするであろう!」
エリザ「…冗談ですわよね。そんなテーマパークみたいな自宅とか嫌ですわよ」
アネモネ「えー」
ドラクル「私はよろしいと思いますよ。お嬢様。ですが、装置を組み込むには城自体を大きく改築しないといけませんね」
アネモネ「ふむ。まずは城から」
エリザ「その話を進めないで!今は、遺跡の奥を調べに行くのでしょう!」


エリザ「あら…?道が途切れていますわね。他に道があったかしら?」
アネモネ「無いな。ここまで一本道である。…この床だけ、他と異なるな。そして、向こう側にも同じ模様。…昔、読んだ本から試しに作った移動魔法陣に似ているな。テレポートの呪文を唱えてみるか」


アネモネ「予想通りでもあったが、これは予想外と言うべきか」
ドラクル「同じものが沢山ございますね」
アネモネ「まあ。気になるから、ぜーんぶ調べるがな」



アネモネ「犬共と戯れたり、宝箱を開けたり、迷路で彷徨ったり、なかなか愉快であったが… ここが終点のようだな」
エリザ「今まで見たことない機械兵も大勢いましたわ。この先には、以前戦ったゼイレン究極破壊兵器『ウティマ』以上のものがいるのかしら…」
アネモネ「ふはーははははははっ!恐ろしくやばい兵器!心が躍るのであーる!はーははははははっ!」
ジル「ふひひひっ♪どんな機械だって、僕の魔法でビーリビリジャンクにしてやるのですです!」
エリザ「少しは手に負えない事態を想定してくださらない?戦闘ばか」
ドラクル「それは無理でございますね。楽しいのですから。ふふっ」

 


アネモネ「…! そなたは?」
機械式の電子扉を開けると、そこには一人の美しい少女の姿があった… その肌は人工物のように白く、金糸のようなブロンドはどこか生気を欠いたまま、光を反射し揺らめいている。
あなたが来ることは分かっていた、そう言いたげな様子で、彼女は深緑の双眸を薄く緩める。
イリス「私はイリス… 長旅、お疲れ様でした。遺跡の守り人としてあなたを歓迎します、私たちに終わりをもたらす人…」