elonaNPC

ある吟遊詩人とロイター

ザナンの強肩だったか?違った気がするが、俺が駆けだしの吟遊詩人の頃にその男によく石を投げられたものだ。 普通の投石なら、かすり傷で済むだろう。 だがな、その男は違った。 石を手に取るその動きは無駄がなく、振り上げるその腕。石を握っていた指まで無駄が無かった。 ゴッ、そんな音が響いて、さっきまで元気だった俺の身体は倒れた。 ただ石ころが腹に当たったと思ったのに、まるで巨人にも殴られたような衝撃が走 […]

レントンと妹

 少女の声が聞こえる。  それは聞き覚えがある声。  才能が無い自分など生きる価値など無いと湖に飛び降りて、そのまま冷たい水の中で息絶えた妹の声だ。  なんて言っているのかわからない…ただ私にわかるのはそれは妹の声だということだ。  レントンは「ああ…」と呟く。  生気が無い人形のような顔に笑みを浮かべた。それは壊れかけた笑み。 「呼んでいる。やっと呼んでくれた…行こう」  魔術師の男は湖に飛び込 […]

母と子

 薄汚れた枕に散る艶やかな金髪。  シーツの下からわかるほどの美しい曲線。それだけで美しい女性だと予感させる。  けれど、その顔は……醜い化け物だった。  顔面を覆う赤い鱗。まるで蛇のような人とは違う骨格。  かつてスミレ色だった瞳はギョロリとした獣の目となっていた。 「旅人さん…!お母さんが…お話があるって…」  赤い髪の少女は今にも泣きそうな…けど、どこか期待した目で私を見つめる。  言葉に出 […]